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東アフリカ 大地溝帯の旅 (8)

2011/12 - 2012/01

食文化の豊かさ / エチオピア


単独旅行の100ヶ国目

憧れの国も訪問機会がなかった。その理由は他国との陸路移動が難しく、複数国の周遊旅行が厳しいため。今回の東アフリカ旅行。当初はエチオピアに行くつもりはなかったのだが、ケニアの首都ナイロビから、飛行機が往復 23,400円と安かったので飛んだ。隣の座席は、女優のような美しい黒人女性。ビヨンセにそっくり。写真撮影を依頼したが断られた。残念。

アフリカを代表する航空会社、エチオピア航空はサービスもバッチリ。車イスでも安心して利用できました。階段も担いでくれたりとても親切。ちなみに、空港には車いすトイレも一応ありました。もちろんというか、空港でしか車いすトイレは見ていません。

05:30到着だった。まだ暗いので夜明けまで他の乗客も外に出ない。私も空港のカフェで休憩して時間を潰す。06:30に外へ。早朝の空港。1月なのでかなり肌寒い。気温10度は下回る。ありたっけの服を着込む。駐車場にはタクシーがたむろ。車いすマークの駐車スペースもあったが、使われていない感じ。

このままアワッサ行きのバスターミナルへ移動して、南へと移動する。空港からのタクシー180ブル(900円)と高かった。無理して値切るより安心安全を選択。

アジスアベバは舗装道路ばかり。高架の高速道路もある。今まで旅行してきたウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、南スーダンと比較すると大都会。5階建て以上の高い建物も多い。2階建ての一戸建て住宅もある。これまで見なかった。その一方で、路上生活者が目立つ。寒いのに毛布にくるまって空き地で寝ている。地方から出てきて、そのまま住みついているのだろうか。

市内南部に新しくできた、近距離用(300キロ以内)のバスターミナル。ワンボックスやミニバスが頻発。大型バスは乗り降りが私には面倒なので、ワンボックスカーがいい。湖のあるアワッサまでは250キロ。なのに料金110ブル(550円)。社会主義だった影響もあるのか安すぎ。

アジスアベバは高原都市だが、一歩南へ出ると低地になる。すると一気に気温が上がる。アワッサまで直通だと思ったら、シャシャマネという大きな町で乗換え。合計4時間30分の旅。


アワッサ観光

ジャカランダの花が咲いていた。紫色。日本で言うところの桜か。美しい並木道を抜けて湖へ。

アワッサ湖のボートクルーズ。乗場に段差があるし、景色もそれほど良いとは思わなかったので利用しないで、写真撮影。

湖畔には遊歩道が整備されており、木陰で涼しく、とても気持ちがいい。カフェも並んでおり、お茶や食事も楽しめる。コーヒーはエチオピアが原産国。もちろん味もバッチリ。

湖の釣り人達。リールのないシンプルな竿と糸。葦で編んだ船に乗っています。

エチオピアのカップルと記念撮影。この横では、住民がお風呂&洗濯場として湖を利用していました。

市内に戻ると、行政の建物らしき場所に3輪バイクが登場。杖をつくおじさんのバイクでした。日本では無いのですが、アフリカでとてもよく見ることができます。自動車を持つのは高額ですが、バイクなら現実的。

アワッサのモニュメント。聖人達が描かれた塔。この前に大きな教会があり、大きな広場にもなっています。オートリキシャは市民の足。

アワッサの教会。エチオピアはキリスト教。われわれ日本人には、ローマに分派したキリスト教が馴染み深いですが、また違うキリスト教がある。教会の形は、イスラム教のモスクにも似ている。イスラムはキリスト教からの分派。もともとは同じですから。

教会の前では、男性が左手、女性が右手に分かれて座って休憩。お祈りする人もいれば、昼寝をしている人もいある。ボートしていたり、ホームレスっぽい人もいる。憩いの場。

バリアフリーが何もないエチオピア。教会に入るには階段なので、私は入れず。周りに声かけて人を集めて担いでもらったりしてまでは見たいとは思わなかった。しばらくすると歌声が聴こえてきた。白装束でぞろぞろと行進。お葬式です。遺体が教会へと運ばれました。親族や関係者は、最後の別れに号泣。


アジスアベバ観光

大都会のアジスアベバ。BRT(バス・レール・トランジット)が導入されていて、ビックリ。一部の道路に、バス専用レーンがありました。渋滞は深刻な都市問題ですから。

エチオピアは、大地溝帯の始まり。山の国。首都アジスアベバは坂ばかり。車いすは大変。動けない。タクシーに乗るしかないが、外国人だとボッてくるので交渉が面倒。市内には無数の乗合タクシーが走っているので、現地人とか複数いるなら、それに乗りこめなくはない。街の中心。ライオン広場。この近くに宿泊しましたが、周りは坂ばかり。トホホ。

メインストリートです。坂が多いのがわかるでしょうか?

坂の街でも、散歩へGO! 住宅街の中に入ると面白くなります。八百屋を発見。

路上のさくらんぼ屋さん。なんと10個で2ブル(10円)なり。1つが1円です。安い!

動物園(ライオンがいるだけだが、とても賑わう)の駐車場で出会った、エチオピア人。彼の車いすは他国からの寄付。珍しい3輪タイプ。


サッカー観戦

エチオピアといえば長距離ランナーで有名。トレーニングする国立競技場を見学に行ったら、サッカーの開催日。競技場には、ビールが飲めるバーやカフェが何軒もあり、試合前から賑やか。車イスで入れそうな段差のない入口でチケットを購入。25ブル(125円)。ランチ1回分程度の安い料金。観客も多く、5000人は入っていたと思う。

中に入ると、最前列だと柵が邪魔で見えにくい。係員に中に入れてくれよと頼むと、すぐにOKとの返事。最初は隅の方で見てましたが、ベンチ横まで移動。チームのオーナーなのか、選手の友人なのか、VIP客はグランド内に入って観戦していた。私も混じった形。

エチオピアのサッカーリーグ。黄色が「エチオピア・コーヒー」。白色が「エチオピア銀行」。特にコーヒーは強くて人気チーム。サポーターの応援も歌あり太鼓ありで楽しい。スタジアムはかなり盛りあがった。試合後も競技場周囲のバーは酒盛りで、お祭りの雰囲気。

結果は1対1。身体能力は高く、技術もそこそこあるが、戦術が無い感じ。エチオピアはアフリカでも強いチームではないけど、サッカーは万国共通で人気がありました。

 


アジスアベバ観光

国立博物館。人類の起源は、エチオピアとも言われるが、その化石がある。ルーシー。入口は階段。でも見逃せない施設。中の展示室も3層だが階段。親切な職員に車いすを担いでもらった。

博物館の隣に、大きな教会があったので見学。いわゆる西欧のカトリックやプロテスタントの教会とは形が違います。東欧の正教会に似ている。

マリアさんとキリスト。肌の色が黒いのがエチオピア風。


悲しい現実

路上でタバコやお菓子を売る雑貨屋が車いすを使っていた。何十台と見た。ベビーカーの場合もあった。車輪がついていて、移動販売しやすいからだろう。

問題なのは、その車いすが欧米からの寄付であること。この車いすはカナダから。最初は、障害のある人の元へ届けられたと信じたいが、現金欲しさに家族が車いすを売ってしまうのだろう。虚しい国際援助の現実。最後まで管理することは難しいが、安易に物をあげるだけでは良い結果にならない。


エチオピア料理

エチオピア名物といえば「インジュラ」。酸っぱい発酵クレープが主食である。雑巾みたい、臭い、飽きると、悪い評判を聞いていたが、とても美味しいではないか。最高!発酵食品だからか、かなりお腹が膨れて、腹もちがとてもいい。
 

インジェラはテフというイネ科の植物を粉にして水で溶いて発酵させてから薄く焼く。色んなスパイシーな具を乗せて食べる。路上ではテフが販売されていた。

イタリアが植民地にしていた影響もあるのか、他の料理のレベルも高い。フレッシュジュースにライムが付く。魚の塩加減も良い。野菜も缶詰でなく、柔らかすぎずバターで炒めている。パンも焼いたのが提供される。ちょっとしたことで違いが出る。高級店のイタリアンで、75ブル(300円)。しかしウェイターがお釣りをごまかしてきたのは腹が立った。あんたら町を代表する大繁盛店だろうに。

ホテルの朝食。コーヒーのミルクがスチームして出てくるのにビビった。そこそこいい中級ホテルですけど。日本のかなり美味しい店で提供されるカプチーノの味。

カフェのフルーツジュースもほっぺが落ちる。マンゴー、アボカド。おしゃれなカフェでは店員さんも美人。店で飲むカプチーノは5ブル(25円)。路上のブンナ屋(コーヒー)、チャイは2ブル(10円)。どれも美味い。

アジスアベバのスイーツショップ。色んな種類があります。丸い大きなケーキを注文して取りに来る人で繁盛していました。冷蔵庫のない家庭も多いし、フレッシュな生クリームはあまり使われていないようですが、美味しそうです。

私はティラミスをいただきました。19ブル(100円)とちょっと高級。クリームに新鮮さは欠けていましたが、日本以外だと充分に通用するレベルの高い味。アフリカとは信じがたい。ついでにコーラも7ブル(40円)。コーラのロゴはアムハラ語です。

イタリアの影響でパスタも多い。一度だけ食べたミートスパゲティ(ボロネーゼ)も美味しかった。ソースは日本のイタリア料理店で出されても負けない一級品の味付け。

エチオピアが食文化がとても豊か。アフリカ一番であることは間違いありません。現地人の楽しみは、食であるのは間違いない。中国人みたいに。


別の一面

エチオピアのもう一つの顔。売春連れ込み激安宿が無数にある。社会見学も兼ねて、一杯飲みにとナイトクラブへと行ってみた。ナイトクラブのビールは100円しなかった。暗い店内を歩くお姉さんを眺める。マリファナの甘い香りも漂っていた。色気を強調するお姉さん達だが、肌が黒いので見えにくい。夜の視力は黒人と日本では違うのだろうか?

物価が安い。食べ物が美味い。独自文化もある。エチオピアは最高な国かと思いきや、問題は人。お金にこすい。物乞いが外国人だと見るとしつこくつきまとうのは、うっとおしくて仕方ない。長い歴史で階層が固定されているのか、貧困は根深い。中間層が少なく、サービスの質は低い。

そして路上生活者がとても多いのは本当に気になった。赤ちゃんと母親、子ども、老人とか。聞くと、HIV患者だとか。家族からも見捨てられ、社会からも排斥された人々。もうちょっと助けあえれないのかと悲しくなる。


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