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150ヶ国目は、イラク訪問(2)

2016/03

クルド人自治区アルビル / イラク


雪山と緑の大地

観光に関する国際会議が、イラク北東部のクルド人エリア、クルディスタンの首都アルビルで開催される。ヨルダンの友人が関わっていたこともあり、参加することになった。

トルコ、イスタンブールから飛行機。国境の雪山に驚く。トルコにはスキー場が幾つかあるそうな。イラクに入り、高度を落としていくと、目に入るのは灌漑農業の畑や田んぼの緑色の大地。

イラクのイメージって、危険、暑い、埃っぽい。。。 そんなイメージですよね。皆さん。雪と緑ってなかった。もちろんイラク南部は乾燥した砂漠気候であるけど、国土は広い。来なければわからないことって多い。最初の衝撃。無知って怖い。

空港は新しく、ブリッジも6つあり近代的。ターミナルもない空港をイメージしていたが、失礼しました。日本でいうと、長野の松本みたい。でも夏はやっぱり暑く40度越えもあり。

アルビル空港。バリアフリーも完備。素晴らしい。

入国する書類。招待状は3日前に受け取った。「日本人はビザ無しで入国できる」というが、書類は欲しい。届かないので、「行かない。キャンセル」とメールしたら、慌てて「送るから、来い」との返事。結局、出発時には届かず、関空でメールチェックしたら、やっと届いていた。ビジネスクラスの客じゃないけど、ラウンジでお願いして書類を印刷させてもらった。まあ色々です。

招待状があるので入国は、あっさり。パスポートにはスタンプだけで、ビザらしきものは発行されず。ビザ無しでクルディスタンに入国できるか否かは、私は保証しません。ご自身で確認ください。

外に出ると、困ったことに、迎えが来ていなかった。とりあえず、高層ビルが立ち並ぶ市内中心部を見ながら、待つ。 どうやら想像以上に街も発展してそう。

30分ほど待っても、迎えが来ない。おかしいなと思って空港職員に話しかけると、ターミナルが2つあって、このターミナルには一般車両は近づくことができないとのこと。VIPや一部の金持ちを除いて、乗客のほとんどが、バスに乗って第2ターミナルへと移動する。へー。

そのバスが、低床なので感動。イラクにバリアフリーがあるなんて!きっちり、歩道に幅寄せをして、反転式スロープを出してくれます。

こちらが第2ターミナル。お迎えの人がたくさんいます。タクシーもここから乗ります。しかし、私の迎えが誰もいない。私以外にも会議に参加する人もいると思うのだけど。。。

搭乗手続きをするターミナルと、送り迎えするターミナルが別なのは初めて。テロ対策に良いアイデアですね。ちなみに、この送迎ターミナルに入るのにも厳しい検問あり。

担当者の電話番号を知らない。泊まるホテルも知らない。誰も迎えがいないとは想定外。困った。空港タクシーの運転手達に、誰かいないか? 国際会議あること知らないか? と尋ねても、わからず。

会議の公式ホームページを説明用として、印刷して持っていたので、そこに会議場の名前と電話番号があった。最悪は、自分で市内に出て、どこかホテルに滞在して、翌日に会議場へ行こうとも思った。あるいは会議参加もやめて、ただ観光してもいいかなとも。

親切なタクシー運転手が、携帯で電話をして、聞いてくれ、私の滞在するホテルが判明。そのホテルまで、空港タクシーで送るという。私は料金を支払わず、会議の主催者払い。

ホテル到着。4つ星ホテル。会議参加者らしき人が、ロビーに居るが、スタッフは誰もおらず。とりあえずロビーでドリンクをもらって待つ。何も指示なし。メッセージもなし。待ってても仕方ないので、名前を告げると部屋はあるみたいなので、部屋に行く。夕食はついていないらしい。翌日の集合時間もわからない。いい加減です。適当だけど、帳尻合わすのはうまい。

空港から、ホテルへと移動するとき、多くの中級ホテルを見た。こんなにホテルがあるのだと驚いた。旅行者なのか、ビジネス客なのか、わからないが、訪問する人が多いのだろう。

市内では、1000を超えるビルやアパートが建設中だった。道路もバーン。走っている車は新車ばかり。フットトサルコートは人工芝。公園には豪華な新しい遊具が並ぶ。高層ビルに、大きな環状道路、新しい空港、整然と都市計画された街並み、中国の田舎100万都市みたい。


会議1日目

高級ホテルなので、セキュリティは厳しい。防弾ジョッキに、銃とライフルを持った屈強な警備員。中級ホテルでは、こんなセキュリテイはありません。

イラク、アルビルの街並み。ドバイやカタールほど発展はしてませんが、完全なる車社会。ゴミも落ちておらず、綺麗です。左前方は建設中のホテル。景気がとてもいいです。皆さんのイメージするイラクではないと思います。

動画もご覧ください。バスの運転手が男前です。

会議場に到着。そこでやっと主催者と会えました。私と連絡を取った人。「昨日は迎えにいけなくてゴメン」。その一言で終わり。怒ってはいけません。

クルド人は、アラブ人と違って、女性の恰好が派手です。会議で正装しているのも理由です。黒装束というより、イランやトルコに近いですね。

男性の民族衣装。皆さん笑顔で写真撮影に応じてくれました。

国際会議場も立派な建物。入口に段差でスロープはなかったが、内部に車いすトイレがあるのには驚き。うんこできました。助かる~

国際会議の開始。テレビ局、新聞社、メディアもずらり。

イラク、クルディスタン自治区の首相のスピーチ。スピーチの中に、テロリストとは闘い。徹底排除。これからは観光促進。そのキックオフ。平和で自治もうまくいっているからか、投資も盛んに行われているようです。

政府観光局の資料によると、クルディスタンの人口は550万人。GDPは一人辺り4452ドル。失業率は6.5%。14歳以下の割合が、なんと36%。単純に、人口増加エリア。インフラや建物も必要。この地域の経済中心地となりうるところ。

バクダッドは、ギャングもいたりして、やはり治安が悪いようです。ちなみに、クルディスタンでも石油は取れるとのこと。その量は多くはないと思いますが、産油国。

展示会の様子。航空会社、旅行会社、不動産会社、観光局、観光に関わる主要な会社と組織が大集合。そんな中に日本人が一人。それも車いす(笑)。クルド地方への旅行ツアー。紹介できます。現地旅行会社と顔つなぎしますよ。企画しませんか?

クルド人。美男美女が多い気がします。濃い顔つき。日本の芸能人でいえば、阿部寛、草刈民雄、木の実ナナ、土屋アンナ、ローラ、、、 そんな人ばっかり。

パンを焼く女性たち。郷土料理ですね。美味しいですよー。焼きたては最高。

1日目のランチ。ビュッフェ形式。とても美味しい。レベルが高い。トルコも美味しいが隣接してますもんね。湾岸諸国はイマイチだけど。ピラフに、ナッツと干しブドウが入っているのが良いです。香辛料の強いカレーと合う。野菜も豊富。

午後のパネルディスカッション。私も、プレゼンをさせてくれ、スピーチをさせてくれとお願いをしていた。少しの時間でもくれるかなと思って用意していたが、この格式高い様子だと、出番はなさそう。観光大臣とか、首相とか、話している場所ですからねー。

会議終了。夕方は参加者のスタディツアー。世界遺産の旧市街城壁に連れていってくれるのかと思ったら、なぜか乗馬クラブだった。競馬場もある施設。屋内の馬場で演技を見る。道中、街の出入口(高速道路)には検問あり。

賭け事はしないけど、競馬はある。速い馬を持つことは名誉。クルディスタンにも、大金持ちがいます。その象徴が馬の保有なのかも。

夜8時。お腹ぺこぺこ。やっと夕食。

食べ物が美味しい。期待していなかっただけに、より感動が強い。特にサラダがいい。よく混ぜられ、ドレッシングが野菜に馴染む。パン(ピタパン)も小麦の香りがちゃんとする。ザクロの赤い実が酸味アクセント。イランからの参加者と一緒に食事をして、記念撮影。

こちらは、2日目の夕食。同じレストラン。やっぱりサラダが美味しい。盛り付けもキレイ。ジュースも美味しいです。果物が絞りたて。アルコールは高級ホテルだとありますけど、こういう場では無し。


会議2日目

観光大臣がまとめ役の意見交換会は、極めて民主的なので、非常に好感がもてた。率直な意見がズバスバ出る。遠慮なし。言いたいことを言う。辺り障りのない意見しかでない、形式ばかりの日本とは違う。

予想通り、私のプレゼン時間はなかったが、そもそも誰もプレゼンしないが、発言はさせてもらった。300人の前。5分ほどの短いスピーチ。英語。反響は大きかった。

「観光は単にビジネスだけじゃない、平和につながる」「新しい施設を作るなら、バリアフリーも考えてね」が、メッセージ。
 
祖父母、子供と一緒の家族旅行「三世代旅行」というキーワードは大臣に響いた。バリアフリーは単に当事者(障害者・高齢者)だけの問題でなく、その家族にも影響する。祖父母がお金持っているし、皆で旅行も楽しみたいでしょと。

この日は、なんとイランとイラク北部の正月「Newroz ニューロス」。1年で大切な日。春の訪れを祝って、焚き木をする。日本で例えると、除夜の鐘のような習慣かな。

夕方、市内中心部の大きな公園へ。

日没まで時間はあるけど、どうやら焚き木を、ここで見るようです。長い待ち時間を適当に過ごす。説明もないし、無計画で行きあたりばったり(に見える)運営。怒ってはダメです。

新年を祝う、平和な風景。民族衣装の人も多く、雰囲気がとても良いです。

公園内の遊具。地面にマットが敷かれており安全です。日本より快適かも。子どもが多いから、遊具がどこも充実しています。貧しいとは感じない公園の風景。

焚き木を燃やす。この公園での点火は、テレビ中継もされていました。

夕食に行くのかと思ったら、続いては、去年オープンの遊園地へ。国際会議のスポンサーの一つ。遊園地はスロープ完備、車いすトイレ有りいい感じ。ベビーカーにも優しい施設。

イラク最大の遊園地の目玉は、恐竜公園。実物大のリアルな模型が動いているのが見れます。ただそれだけですけど、こどもには楽しいですね。

新年なので、踊りのショー。牧歌的で優しい感じです。見ているだけではつまらないので、皆さんも踊り始めました。私も一緒に踊りました。


最終日

午後の飛行機まで時間があるので、ホテル周辺を歩く。住宅街の排水路が、日本だと両端ですけど、道路中央なのが面白い。

新年の休日で、ほとんどの店が閉まっていたが、床屋さんは開いていた。恒例の旅先での散髪。60ヶ国目の体験。料金は無料でいいよとサービスしてくれた。

屋台のファラーフェル屋さんをみつけた。中東の国民食。コロッケのサンドウィッチ。野菜の酢漬け(ピクルス)が入ることが多いが、こちらでは生野菜のサラダ。もちろん生野菜の方が美味しい。イラクの通貨をなく、米ドルしか持っていなかったので、1ドル札を支払おうとすると、お金は要らないって。床屋でも屋台でも、無料のサービス。優しいのか、新年の恵みなのかわかりませんが、私としては気分いい。

ホテルの車で空港へ。新年のお休み。海外から帰国する家族を迎える人で空港は混雑。迎えのターミナルでは、空港の車いすやカートで遊ぶ子供たち。素朴です。

バリアフリーのバスに乗って、搭乗手続きをする第1ターミナルへ。画面には出発予定の飛行機がずらり。日本でネット検索すると、トルコ航空、カタール航空、フライドバイしか国際便が出てきませんでしたが、それは私のリサーチ不足。アラビア語とかで調べると、いっぱい見つかるのかも。就航する都市の数が多いことからも、クルディスタン、アルビルの発展の様子が伺えます。

同じイラクでも、イラク人(アラブ)はクルディスタンに入るのには招待状が必要。バクダッドもいわば外国です。国際的には同じ国ですけどね。1国2制度。クルディスタン。自治が機能していて、無理に独立は望んでいないようです。トルコ、イランにも地域ありますしね。

アルビル空港は、とても綺麗。多くのフィリピン人が働いていました。湾岸諸国ほど多くはありませんが、外国人労働者もいます。 フィリピン、インド、スリランカなど。「貧しい」というイメージは捨てないといけませんね。


4日間の滞在。治安って何だろう?と考えた。窃盗、強盗、性犯罪は無いに等しく、あるのは隣国からのテロだけ。すぐ隣は、IS(イスラム国)の支配地域。日本はテロないけど、通り魔、殺人、凶悪犯罪、車の暴走、地震、イジメ、死ぬ確率あが他国より高いものもある。テロなかったら日本より遥かに安全かもしれません。多くの人は信用してくれないでしょうけど(笑)。

クルド人のイメージも変わった。そもそもイメージすらない人が多いのが現実か。可哀想、貧しい、難民、、、  パレスチナと似たようなものだと思ったら全然違った。 緑豊かで、自然も歴史も文化もあり、食べ物も美味しくて、良いところでした。

皆さんも機会があれば、訪問ください。


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