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ヨルダン出張&イスラエル(1)

2013/10

アンマン観光 / ヨルダン


ヨルダン出張 顛末

私は訪日外国人へのバリアフリー旅行情報を提供するNPO法人 Japan Accessible Tourism Center を運営しています。このサイトから、問い合わせというか、ヨルダンから連絡が入ったのが、2013年の5月。10月に、アラブ初の観光バリアフリーイベントをするから参加して欲しいとメールが来た。

やりとりするうちに、スピーカーの一人として、私が決定。日本の観光バリアフリーの事例を話すことになった。航空券は自腹。現地滞在中は全部向こう持ち。そんな条件。自由業なので、事後に未訪問のイスラエル旅行をすることにした。

ただし、イベントは未開催の可能性もあると頭の片隅に置いていた。完全には信用しない。メールはやりとりしたものの、会ったことない人。過去、スペインのバリアフリーイベントでも、招待するからと言って音信不通になったこともあった。

話が進んでいる様子もなく、周りに推奨するわけにもいかず、どうしたものかと8月末に確認したら、このイベントの公式サイトがようやく完成したとの連絡。開催の最終確認をして航空券を購入。すると、その2週間後の9月下旬に、10月から12月に延期になったとの連絡。シリア情勢の悪化、スポンサー集めの遅れが原因。予想された事態ではあるが、知らされたのは渡航1か月前。あらら。困ったなあ。

私は12月は講演の仕事がありNG。航空券はキャンセルできないし、日程だけ変えて旅行することにした。でもせっかくなので、アンマン(ヨルダンの首都)に1泊して、飯でも食べましょうとメールした。

ならば、君をモデルに、ヨルダン観光バリアフリーのプロモーションビデオを撮影しよう。観光地やホテルも行くから、色々と意見も聞かせて欲しい、となった。イタリアからも車いすが1名来るから一緒に周ろうとも。滞在費用は心配するな、任せろとなったたので、元の日程に戻して行くことに。私の名前が入ったホテルの予約表が送付され、ほっと一安心。

似たような仕事というか、経験は、台湾でも経験済み。講演したり、メディアに出たり、現地の団体が私を口実に、政治家とかと面談し、その場で交渉したり、等々。


アホな質問

関西空港。エミレーツ航空のカウンター。JALと共同運航なので、JAL職員が搭乗手続きを行う。

いつものように、「自分でゲートまで行きます」と言うと、変な顔をする。「お客様、何かスポーツやってますか?」と質問をしてくる。続けて「事前連絡がないので、搭乗できないかもしれません」とも。侮辱している。スポーツの有無と搭乗が関係あるのか? このフレーズを聞くのは、11年前の全日空搭乗拒否騒動のとき以来2回目。

別の係員も出てきて、「ゲートまで一人で本当に大丈夫なんですか?」「電車の隙間とかありますよ」「大変ですよ」と説明する。

車いすに乗ったことのない怪我人や病人なら、案内は必要だろうが明らかに私は違う。そもそも空港にどうやって一人で来ている。車いす操作も慣れているのは見たらすぐわかる。飛行機の利用に慣れてそうなことも、私の態度やパスポートを見たらすぐわかるやん。介助するのが親切とでも思っているのか?子ども扱いに言葉を失う。

本人が「行ける」と言っているのだから問題ないだろ。それだけのこと。説明するのがアホくさかった。世界中の空港を利用しているが、訳のわからん質問をされたり、本人の意思を聞かないのは、日本と中国だけ。情けない。悲しい。腹が立つ。

日本の地上職員は問題だが、エミレーツ航空のフライトは最高。機内食に、メバルが出た。店で出ることの少ない魚。チンなので身が固いけど、味付けばバッチリ。チョコケーキも美味しかったし、客室乗務員のサービスも良いし、座席も画面も大きいので快適だった。


イブラヒム

ドバイで乗り継ぎ、アンマン空港についたら、誰もおらず焦った。時間潰しにとトイレで用を足し戻ってきたら、イブラヒム登場。ヌビア系(スーダン)のパレスチナ人。背の高い黒人。イベントの主催者。ひげ面で癖のある研究者のイメージとは違った。想像はいい加減っす。マイケル・ジョーダン、エムボマみたいな感じ。祖先はスーダン。生まれはヨルダン。教育はイギリス。3つのルーツ。

奥さんは、30歳年下、ウクライナ人のヨルダン航空客室乗務員。バリアフリー研修の担当者でもある。離婚した英国人との間に成人した2人の娘がいる。還暦前なのに、40代にしか見えない引き締まった体型。

今回いろんな人に会ったが、ヨルダン人の外見特徴は多種多様であった。肌の白い人、茶色の人、濃い人、巻き毛、茶髪、黒毛、等々。女性も、派手な人から、髪の毛を隠す宗教的な人まで色々。歴史を見ると、古代から侵略、征服、文明の交差点となったところ。エジプト、ペルシャ、アラブ、トルコ、イギリス、スラブ系、アルメニア、血が混じるわけである。


※この写真は空港ではなく、ホテルの中庭でのインタビュー撮影

イブラヒムと会って5分後、空港の責任者達との会談が開かれることになり、空港の会議室へ移動。何も知らされていない私は、あわててTシャツから、ボタンのあるシャツに着替えた。

内容は、12月のイベント告知と対応、スポンサー依頼。日本からのゲストを使ってのアポイント。空港への迎えも利用するとは、頭が切れるというか、図々しいというか、あっぱれ。

2013年3月にアンマン空港に新しいターミナルがオープン。併せて、スペシャルニーズの乗客へのサービスも整備されたらしいが、それはイマイチだった。問題は、発着する飛行機の8割が国外の航空会社であること。そのコントロールが難しいらしい。

そんなこんなで、有力者に会ったり、食事したりと、大忙し。突然アポイントが取れたからと、予定もころころ変更する。イブラヒムの顔の広さには驚く。

初日のディナーは、郷土料理レストランにて。250席あるらしい。 Tawaheen Al-Hawa Restaurant 入口にはスロープ。車いすトイレはないけど、雰囲気がよく、美味しいし、最高。日本でも言えることだが、繁盛している老舗の大型店舗などは、多様なお客さんに対応するためバリアフリー化していることが多い。それが好循環を生む。有り難い。

12月の観光バリアフリーイベントの関係者が集まって、食事をする。女性が多いのが目立つ。イスラムの間違ったイメージで女性蔑視と考える人も多いと思うが、実際は違う。ヨルダンでも、政府や企業の要職につく女性の多いこと。仕事において、特に日本の女性差別はひどいと思う。

ヨルダン料理。豪華です。

食後に、水タバコ(シーシャ)。アラブ名物ですね。

ロビーでは、おばちゃんがパンを焼いてました。温め直しかな。パンは、いつでもどこでも美味しかったです。ちぎりながら食べます。

夜も遅くなりました。乾燥した気候なので、露天が気持ちいいです。

から合流したイタリア人のロベルト。同じ脊髄損傷の車いす。観光バリアフリーのコンサルタントで欧州で大活躍中。車いすの彼は、バツ2。奥さんは第2子を妊娠中。ちなみに人工授精。

余談だが、人工授精はチェコが安いらしい。1000~1500ユーロ。イタリアでは、この2倍以上。医療も国境を超える時代に。英語が話せるなら日本人でも有り。航空券代を出しても費用はかなり安い。


ヨルダン博物館

新しく出来たばかりのヨルダン博物館へ。新しい建物なので完全バリアフリー。世界で最も歴史ある街の一つアンマン。6000年前の土偶とか置いてあった。

この博物館は、日本の援助で作られたとのこと。税金は色んな所で使われています。文化遺産の保護、歴史教育は大切ですね。


アンマン城

丘の上に立つアンマン城の遺跡へ。バリアフリー化されたらしく、入口もスロープ有り。

車いすでの観光も問題ないようです。嬉しいですね!

テレビカメラで、車いすで観光している様子を撮影。映像は、そこが車いすで行けることを簡単に分かるので、最も効果的な伝達手段。

遺跡と、現代のアンマン市内。小高い丘の上なので、絶景です。

アンマンの中心部フィラデルフィアは、古代ローマ帝国が築いた街。劇場も見えます。車いすでも、丘の上にこれて、観光できるのは素晴らしいです。感謝!


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