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アフリカ大爆走(2)

2003/12  -  2004/01

オットセイの天国 / ナミビア


いざ海岸へ

早朝にエトーシャー国立公園のキャンプ場を出発。大雨が降っていた。自動車の中で寝ていたので、そのまま運転。しかし、どうも自動車のスピードが出ない。公園を出た後、飛ばそうと思っても100キロしか出ない。雨のせいかもしれない。どうせ100キロ先の町(それが一番近い)でガソリンを入れるので突っ走る。

ガソリンスタンドにつくころ、雨はやんでいた。ガソリンを満タンにしてもらうと、係員は「それだけでいいのかい?」と笑ってくる。なんだろうと思うと、右の後輪タイヤが、一本の黒い筋だけ残してホイールだけになっていた。パンクして、そのまま走っていて、タイヤがなくなっていたのである。

車の調子がおかしいのは、このせいだった。おそらく前日のサファリでパンクして空気が抜け、早朝に公園を出た直後に空気がなくなり、ホイールだけで残り70キロを走ってきたのだ。雨だからよかったのか。途中にトラックも抜かした。

実際、パンクに気づいたとしても、自分では直せない。それに大雨。また他の車も滅多に通らない。結果OKだった。気づかずに良かった。ガソリンスタンドで修理してもらうのが最善だった。

ホイールだけで走っていたので、ずいぶん削れてしまったので、応急処置で研磨する。もちろんスペアタイヤを取り付けたわけだが、今度パンクしたときに使えるホイールとしてのため。修理費とタイヤ代、合計で約1万円也。タイヤがなくても自動車って走るもんなんだ(笑い)と新しい発見でした。

パンク修理で、1時間弱ロスしてしまったが、気を取り直して出発。メインのルートからそれて、直線距離で最も近い道を選んだが、極端に車が少なくなる。途中の牧場で働く現地人をヒッチハイクで乗せたりもした。あまりに車が通らないから、助け合い。舗装道路もなくなり、いつしかダートの道に。スピードを出すとスリップする。まるで雪道。それでも道幅が広いから90キロぐらいで飛ばすが、結構、怖い。

途中には、民族衣装をきて、観光客に人形を売る露店が3つあった。対向車もほとんどなく、観光客の乗る車も一日に数台しか通らないだろう道なのに、驚きだ。とりあえず、記念撮影。

大西洋に近くなってきたところは、ずっと土砂漠になっていた。海に向かうまっすぐの一本道。何にもない地平線の道が150キロ続いた。道路には、わだちはあまりない。風で消されたりするからだ。道の目印は、道路の両側に、ぽつりぽつりと置き石があること。その石から外れて砂漠に出てしまうと、東西南北、どこに行けばいいのか方向感覚を失う。周りには山も見えなければ起伏もない。四方八方が砂漠なのだ。道からはみ出ないようにと注意しながらの運転となる。

15分に一度くらい、前方に砂煙が舞い上がる。対向車が来るとの合図である。それが見えて、徐々に近づいてきて、5分後にすれ違う。対向車の砂煙が見えたら、道路の左側によって運転するが、通常は道路のど真ん中を走っていた。その方がスリップしても安全だし、道からはみ出ることも少ない。まるで、パリ-ダカール ラリーに出場したみたいだった。


生と死 すべての営み

目的地であるケープクロスにようやく着いた。NHKラジオの海外レポートにナミビアから電話出演するために、なんとしてでもオットセイの泣き声を録音したかった。日程的にきついが、無理をして車を飛ばした。

街に立ち寄り、昼食を食う。初めてエスカルゴを食べた。うまかった。そのレストランに「明日への活力ステーキ」というメニューがあった。ステーキ700グラム。誰が食うねん! と思ったが、ナミビアは酪農国。牛肉はたくさんあるところ。白人の体もでかい。

駐車場から、海岸までは砂地だった。車イスの私にはつらい。そのときは他に観光客がいなかったので、一人で進んだ。10分かけて200メートルぐらい進んだ。根性である。ここまできて、オットセイを見ずに帰れるか!

 

途中、でっかい南アフリカからの観光客夫妻を見つけたので、大声で叫び、助けを呼ぶ。車イスを押してもらって、より見えやすいポイントへ移動した。辺りは、泣き声でうるさいのなんのって。そして匂い。くさーいのが充満。

案内パンフレットによると、8万頭~10万頭ものオットセイが、ケープクロスを訪れる。産卵シーズンには、子ども達が餌を取れるようにと、頭数は減少するとのこと。

オスの体は平均187キロ。巨体です。産卵シーズンでないときは、縄張りを荒らすものはいませんが、産卵シーズンは陣地の取り合い。そして、産卵シーズンのはじめにはエネルギーを蓄積するために最高で360キロにも達します。
その体で陣地を広げ、守り、メスと群れを作ります。その争いの結果、体重が元に戻るのです。

一方、メスの体は小さく、平均75キロです。オス1頭つき、メスが5頭~25頭のハーレム社会。交尾して、数週間で身ごもり出産。赤ちゃんは、支配するオスの陣地の中で生まれます。赤ちゃんのほとんどは、11月下旬から12月に生まれます。生まれて数日後には、母は海で餌探しをするために赤ちゃんの元を去りますが、母が離れている間は、赤ちゃん同士が集まって行動を取ります。そして、陸に戻ってきたときは、互いの泣き声で、母子それぞれの居場所を確認します。

赤ちゃんは、約1年間、お乳を吸って育ちます。5ヵ月後には、岩の近くの小さい魚や甲殻類を食べれるよになります。7ヶ月経つころには、3日間ほど陸を離れて生活するようなことも可能となります。

ちなみに、ケープクロスの赤ちゃんオットセイの死亡率は27%となっています。ほとんどが生後1週間で死にます。原因は、未熟児であったり、他のオットセイに踏まれたり、溺死であったり、見捨てられたり、他の動物からに襲われたりです。まさに、生と死が同居するところ。多くの死体もたくさんあり、その腐乱臭も漂っていた。

 

オットセイは、1日に体重の8%の食事(魚)を摂取します。全世界の海において、捕獲技術の向上などの原因により、魚の数は激減しています。魚が減れば、それを食べる動物の数も減少しています。オットセイもそうです。

砂地を、車イスを押して助けてくれた南アフリカ人に感謝。いやーすごかった。地球上にこんなところが存在するのかと神秘的。この海岸の周囲は荒涼とした大地。つまり人が住んでいないところ。住むことができないところ。
よって捕獲されないし、魚も取りにこない。つまり、動物の最大の敵である人間さまがいないのだ。

人間のいないところ=動物がいるところ その構図は成り立つ。複雑なり。


おばさま4名を案内 in 2006

アザラシをもっと近くで見ることができました。現地の人たちとの交流もあり楽しかったです。

 

 

 

 

 


家族旅行 in 2019

14年振りの訪問。新しく遊歩道が整備されていました。ユニバーサルデザイン。車いす、ベビーカー、歩行者、オットセイ、環境にも優しい。すぐ近くまで安全に近づけるようになりました。感動です!

 

ウォルスベイのフラミンゴ。


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