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日光東照宮

2014年

日光で講演の仕事。午前中は時間があるので、東照宮へ。実は、日光は4回目。坂道で階段も多く、車いすでの参拝は無理!と諦めていたが、現地の知り合いが、車いす参拝を助けるボランティアがあるので、利用してみたら?と教えてくれた。

日光市社会福祉協議会 ボランティア・福祉教育推進センター TEL:0288-21-2759 に問い合わせて、手配してもらう。

待ち合わせは、輪王寺第一駐車場。バス専用であるが、車いすである旨を伝えると、駐車することができた。相当の階段で、介助されるのにはボランティアさんが慣れた車いすが良いらしい。自分の車いすから汎用品の介助型車いすに乗り換えて、いざ出発!

 

東照宮の前に、輪王寺へ。大阪人である私は、日光は縁遠く、二社一寺があるとは知らなかった。スイマセン。輪王寺は改修中。裏口とか、横とかにスロープがあるといいのですが、残念ながら階段のみ。中も階段や段差だらけ。この改修のタイミングで、バリアフリー化もされると良いなあと思うのですが、難しいみたいです。ボランティアの皆さんは年配者が多い。担がれるのに恐縮するが、ここは甘えて、お任せするのみ。

続いて、東照宮へ。ほとんど山の斜面。かなりの急勾配。長い長い坂道です。

石鳥居へのアクセスも、これまた階段。幅があるため、一段ずつゆっくり上がる。なだらかなスロープだと良いのですが、伝統でしょう。雪が解ければ、両サイドに段差のないルートがありますが、路面状態はガタガタの石なので、これまた大変そう。

 

拝観料を払って、いざ内部へ。これまた階段。 ちなみに大人1300円。輪王寺も大人900円。ちょっと高いなあ~。ボランティアの皆さんは無料で入ります。流石に自腹を切ることはありません。でも交通費はかかっているでしょう。頭は下がります。私が謝礼を支払うことはありません。

 

表門。敷居が大きいのか、木製のスロープ有り。でも最後のところは段差。スロープ。もっとあるといいのになあ。

境内に入りました。関西に住む私にとって、何だかちょっと違った雰囲気だと感じた。京都や奈良の神社仏閣は、ワビサビがあるのだが、日光は派手である。使っている色が多い。極彩色。タイやインド、アジアの寺に来たように感じる。徳川家の威厳を持たせるために、豪華絢爛になったのだろう。

素晴らしいのは、彫り物。非常に繊細で、至るところに細工がされている。特徴は、とにかく派手。金色が多い。カラフル。

東照宮といえば、三猿(見ざる、言わざる、聞かざる)が一番の見所と私は思っていました。どうなんでしょう?一番メインのところにあるのかと思ったら、馬小屋(神厩舎)でした。知らなかった。。。 

ボランティアさんのおかげで、境内に入ることができ、三猿を眺めました。

御水舎という建物。参拝前に、手を洗い、口をすすぎ、清めるところ。よく見ると、右上の彫刻部分が、ごっそり抜けおちています。東日本大震災で被害を受けたそうな。

さて本殿へ。唐銅鳥居をくぐって、これまた階段。。。

車いすを持ち上げると重たいため、階段を一段ずつ滑らせながら、上げていきます。筋力の負担を減らせる、とても良い方法です。とても慣れてらっしゃいます。このボランティアさんは、修学旅行にきた生徒で車いすの人がいたときなどの依頼が多いようです。一人だけ見れないのは寂しいですもんね。

陽明門まで来ました。ここも、また階段。狭いので持ち上げにくいですが、声を揃えて担いでくれました。

ボランティアさんに担がれてくる最深部。唐門です。

祈祷殿の横を通って、眠り猫の彫刻を見に行きます。眠り猫の下から、山の中の階段を上がると奥宮がありますが、流石に車いすで山道は不可能。

三基の神輿が飾られている神輿舎。天井画の天女が実に素晴らしい! 今回、一番の感動!

最後に、鳴竜(なきりゅう)へ。ある地点で音を鳴らすと、反響して竜の鳴き声のように響くお堂がある。車いすを乗り換えてくださいと、お坊さんに言われるが、担ぎにくい、乗換が大変なので、タイヤを拭いて対応。ボランティアさん、本当ご苦労さまです。ここまでしてもらわなくても良いのですが、せっかくの機会、とことん甘える。

階段を担がれまくって、戻ってきました。家族や友達、観光客に担いでもらうのは大変すぎる階段ばかり。専任ボランティアさんの力がなければ見るのは不可能。ボランティアさんが介助し慣れた車いすに乗り換えたのも正解でした。誠にありがとうございます!

ところで、バリアフリー化はできないのだろうか?本当に無理なのか?無理だと言われてきた日本各地の神社仏閣も、今ではすっかりバリアフリーになっているところも多い。メインのところを変えるのは難しくても、裏道や脇道から入るとか、別ルートを作るのも方法だと思う。

歴史あるところだから、聖なる場所だから不可能という意見もあるが、イスラム教の聖地メッカのカーバ神殿を紹介したい。高齢や車いすの巡礼者に対応した参拝ルートを作って、バリアフリーにした。2013年の秋、ヨルダン滞在中にテレビを見て、腰が抜けそうになった。嬉しかった。すごいことだと思う。時代に応じて変化する。やろうと思えば、出来るのです。