The differences between LD and ADHD

学習障害と注意欠陥多動性障害の違い

 
・LD  =  Learning Disability (学習障害) 
・ADHD = Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder (注意欠陥多動性障害) 

University of California Berkeley / Disabled Student's program
 


LDとADHDの違う状態

LDの人は、学業上の問題を抱えている。学業上で期待されるよりも悪い結果を引き起こすことがある情報処理過程の不足がある。ADHDの人は、行動上の問題がある。それは学校内外で深刻な問題を引き起こすことがある。  


LDとADHDを両方もつ人 

ADHDを持つと診断された人のうち、10%~25%の人は、LDでもあると診断されている。ADHDの人のほとんどは、いつも学業上の問題を抱えている。時々、彼らの態度と彼らの学業成績のギャップは LDの診断を促す。


LDとADHDの共通点

双方とも、大学の学生生活における学業経験に影響を与える。双方とも、読むこと、書くこと、数学に問題を引き起こすことがある。双方とも、外見上はわからす、表面的に出てこない。だから、指導教官は、なぜこの学生が悪い成績を取ったりするのかが理解できないことがある。


LDとADHDは異なった診断がされる

LDは、学業上において定義される。テストは必須である。教育療法士、学習障害専門家によってしばしば査定が行われる。

ADHDは、学内外の振る舞いによって定義される。精神科医、臨床心理学者によって、しばしば査定が行われる。


LDについて

その人は、少なくとも通常の知能があるに違いない。その人は、深刻な情報処理過程の不足がある。例えば、記憶、理解速度、聴覚の情報処理、視覚の情報処理、包括的把握、論理つけ、など。テストは、学業達成上の不足が、はっきりとわかる形で示されなければならない。


LDについて詳細

学ぶことの問題は、目が見えない、耳が聞こえない、鬱や不安などの精神病、薬物副作用、不適切な教育、などのLD以外の他の原因によって引き起こされることはない。これらの要因とは無関係である。


もしLDを持っている人がいたら、私達はどうやって気付くのか?

 ・ 発達上の、医学上の、学業上の履歴を含んだ、インタビュー。

 ・ 心理教育学上のテスト。認知されており、実績のあるもの。

 ・ 学習の様子。


LDの種類

 ・ Dyslexia  読むことが苦手。読むことに集中できない。読むことから理解ができない。失読症

 ・ Dysgraphia  図形処理が苦手。空間把握ができない。図形から理解ができない。

 ・ Dyscalculia  計算が苦手。数学上の処理ができない。数字から理解ができない。

 ※これらの言葉は、LDと同義語ではありません。


LD共通の影響

 ・ 遅くて、効率的でない、読むこと、書くこと、数学。

 ・ 貧困なノート取り能力。

 ・ 試験時間が十分に足りない。

 ・ 何事にも時間がかかる。

 ・ 能力や熱心な勉強が成績に反映されない。

 ・ スペルミスや筆記、数学の計算における、不注意な間違い。

 ・ 不注意で、やる気がないと、レッテルを貼られること。


何がLDの学生を助けるのか?

 ・ 試験時間を増やすこと。

 ・ テープレコーダーで録音された本。

 ・ コンピューターが手助けする音声朗読。

 ・ ノートテイカー (授業内容の要点まとめ)。

 ・ 授業中の筆記課題において、単純な間違いに対して、減点しないこと。


ADHDについて (3つのタイプがあります)

 ・ あきらかに、はしゃぎすぎ、衝動的なタイプ。

 ・ あきらかに、怠慢、不愛想、配慮が欠如したタイプ。

 ・ 上記2つが混ざったタイプ。


はしゃぎすぎ、衝動的なタイプ  Hyperactive-Impulsive Type of ADHD

 ・ そわそわして、落ちつきがない。

 ・ 席にじっと座ってられない。

 ・ リラックスすることが難しい。

 ・ まるでエンジンがついているように活動する。

 ・ 質問が完全に終わる前に、うっかり答えをしゃべってしまう。

 ・ 自分の順番が待てない。

 ・ 他の人を、さえぎり、割り込んで、押し付ける。


怠慢、不愛想、配慮が欠如したタイプ  Inattentive Type of ADHD

 ・ 詳細に注意を払わない。

 ・ 注意を維持することができない。

 ・ 注意深く聞いているようには見えない。

 ・ 職務、仕事、課題を終えない。

 ・ 組織管理上、会社の雰囲気上の問題。

 ・ モノ忘れ。

 ・ 簡単に心を取り乱す。

 ・ 日常活動をうっかり忘れる。

 ・ 継続的な精神の努力(集中力など)が要求される職務、仕事、課題をやることを望まない。


ADHDの診断

 ・ その人は7歳になるまで、その兆候が現れなければならない。

 ・ その兆候からみられる欠損は、2つ以上のところ(学校、自宅など)で現れなければならない。

 ・ いくつかの生活場面で、臨床上に意味のある損傷の証拠がなければならない。


どのようにADHDは査定されるのか?

 ・ 精神病医、臨床心理学者、発育小児科医による、インタビュー。

 ・ 先生や家族、意味のある他者によって記入された、分析レポート、質問表。

 ・ 神経(ニューロン)精神病医によるテスト (これは稀である)


ADHDの薬物治療

 ・ 薬物治療は、高い効果と、特別な意味を持つ。とりわけ行動の修正を結合する際に。

 ・ ドーパミン促進剤である、リタリン(薬の名前)が、最もよく処方される。

 ・ ドーパミンは、注意と興奮をコントロールする主な役割をもつ、脳の化学物質である。


ADHDの学生は以下のような問題を持っているでしょう

 ・ 職務、仕事、課題をやり始めること、それらを時間通りに完璧に終わらせること。

 ・ 職務、仕事、課題の計画を立てることの難しさ。

 ・ 自制心が利かない。

 ・ 不十分な試験時間。

 ・ 遅く、不十分な、読むこと、書くこと、計算すること。

 ・ 小論文が支離滅裂になる。

 ・ スペルミスや筆記、数学の計算における、不注意な間違い。


何がADHDの学生を助けるのか?

 ・ 薬物治療。

 ・ 時間管理方法の指導。職務、仕事、課題を構成立てすること。自制心をコントロールすること。

 ・ 静かな、気が散ることのない、勉強場所。

 ・ 試験時間の延長。

 ・ 履修科目の縮小。


『心理学基礎辞典』を元にした、私の補足

LDは認知・学習上の問題に焦点、ADHDは行動面での問題に焦点をあてています。LDの診断には、知的障害は含まれません。

DSM-IV(精神障害の診断と統計の手引き)では、両者を別の概念で捉えていますが、両者にはしばしば合併がみられることから、その鑑別判断には慎重さが必要とされています。ADHDの主症状として、不注意・多動性・衝動性の3つが挙げられ、その行動特性により診断されます。

日常生活の活動で順序だてて物事を考えたり、遊びや活動で注意を持続することが困難であり、外界の僅かな刺激に反応し、また指示に従わない。教室等で勝手に席を離れることがみられ、しばしばじっとしていられず、まるでエンジンで動かされているような症状を呈す。ひとりよがりで思いつくままに行動する傾向が見られる。などが症状とされています。

ADHDとLDとは学習面や態度、行動え類似した臨床像を呈し、その判別には困難さをともないます。重複の程度について、上野一彦は「30%から50%以上にその可能性がある」としています。ADHDや「広汎性発達障害」が学習障害の直接の原因である場合はLDと判断しないとしています。


※日本でも障害を持つ人が自由に学べる環境を整えるため、
許可を得てプレゼン内容を翻訳し公開しております。

翻訳/文章責任  木島英登 

2003年 6月

カリフォルニア大学バークレー ”障害を持つ学生の教育計画” 日本語説明資料トップページ