Assistive Technology Solution for Students with Disabilities 障害を持つ学生の補助技術による解決方法 |
Connie Chiba, Cathy Jay, Adam Tanners
University of California Berkeley / Disabled Student's program
補助技術とは何か? どんな設備であれ、商品であれ、注文して、在庫があれば手に入れることができるし、改良し、修正し使うことができる。整備し、改良し、知恵を働かせることで、個々の持つ障害の機能を生かし能力を上げることができる。これを基本理念としている。つまり、補助技術を有効に使えば、障害となるものが取り除かれ、問題解決の手段となりうる。 デジタルディバイド(情報格差)を埋めるための補助技術への財政支援 ・ 大学からは奨学金。DSPからは特別なサービスが与えられる。 ケーススタディ(1) マイケル(Leaning Disability 学習障害) マイケルは、政治科学専攻の3年生。高校では最良の成績だったが、大学に来てから成績の多くはC(ぎりぎり合格)になるようになった。そして、視覚と聴覚の処理の分野(visual and auditory processing)での学習障害が明らかになった。彼の学習障害は、読むこと、文章を書くこと、それを統合することに影響した。彼はゆっくりしか本が読めない。しばしば試験を最後まで終えることができない。そして長い研究論文を書くことと、それを統合することに困難が生じている。 マイケルは、自身の読み込み能力に特に悩まされている。彼自身、専攻の政治科学が多くの書籍を読み込まなければならないことを知っている。何か早く読めてかつ、内容をきっちり理解できる方法はないものかと考えている。専攻分野を無事に完了するためには書くことが要求され、多くの研究論文を提出しなければならないことに頭を悩ませている。 <学習環境> 授業量の削減。ノートテイカー。試験時間の延長。補助技術。 <補助技術> テープによる音読本。 OCR音声認識ソフト(テキストから音声のでるもの)。電子スペルチェック辞書。 ソフトウエア紹介。 ワードプレディクション。エクスパンション。 音声認識ソフト。 ワープロ。 ケーススタディ(2) トレイシー(Cerebral Palsy 脳性小児麻痺) トレイシーは、深刻な肢体不自由の障害を持つ、DSPレジデンスプログラムの新入生。四肢が痙攣する脳性小児麻痺で、移動には電動車いすを使用している。とても器用で繊細な操作で電動車いすを運転している。多大なる努力の結果、コンピューターのキーボードを一本の指を使って打つことができる。しかし、マウスは使うことができない。なぜなら、体の状態は良くなく、一分間にかろうじて5つの短い単語を打つことしかできない。彼女は、本を持つことや、ページをめくることができない。ペンを握ることもできないので、自分で文字を書くことができない。また、言語障害も伴っている。それゆえ、彼女自身は意味がわかっているのだけれども、周りの人々にとって、彼女が何を言っているのか理解することが難しくなっている。四肢麻痺により、頭がぶれるため、彼女はテストのときに限られた時間で用紙を読み上げることができない。 トレイシーは、新しく始まった大学生活について悩んでいる。寮のレジデンスプログラムは、彼女が初めて家族と離れて暮らすことを意味する。彼女はいつも学校の宿題を母の介助を借りてやってきた。口述で母に伝え、言語障害のある彼女の言うことをよく理解できる母がそれを書き写すことで宿題をしていた。高校では、授業中に同伴者がつき、介助とコミュニケーション補助をしていた。高校時代、彼女はテープで録音された教科書を使うか、母が彼女に教科書を読んでいた。 トレイシーは、カリフォルニア大学での学術的成功について多くの心配をよせている。どのようにしたら彼女の宿題をこなし、授業の中でコミュニケーションがとれるようになるのだろうか? <学習環境> 授業量の削減。 試験を受けやすい環境。 学習補助、研究の介助。 補助技術。 <補助技術> 意思伝達器具。頭で動かすマウス。スティックキー。キーボード保護。ワードプレディクション。エクスパンション。操作しやすくする画面上の変更。テープによる音読本。電子教科書。ページめくり機械。 ケーススタディ(3) リナ(Repetitive Stress Injury 反復性緊張障害) リナは、完全なA(最高の成績)の生徒で、カリフォルニア大学にも奨学生として入学が認められ、原子工学を専攻した。新入生の第2学期、急性の左右両面の反復性緊張障害(RSI)が進行した。 反復性の緊張は現在とても強く、彼女はどちらの手でもペンを握ることができない。キーボードやマウスを使うことも、ドアを開けることも、食堂のトレーを運ぶことですら、できない。自分自身の髪の毛や、歯を磨くことも、介助が必要なほど深刻な困難に直面している。リュックサックも担ぐことができないし、本を読むためにページを押さえることもできない。本が平たい状態、見下ろす形でしか本が読めない。 反復性緊張障害は、完膚なきままに彼女を打ちのめし、長時間勉強することと、毎回トップの成績を取ることがなくなった。彼女は1年間大学から遠ざかり、療養しなければならないかと考えている。彼女がペンを持てない今、どうやって奨学生を続けれるのだろうか? <学習環境> 試験時間の延長。ノートテイカー。書き取り、研究、授業の介助。補助技術。 <補助技術> 意思伝達器具。頭で動かすマウス。スティックキー。キーボード保護。ワードプレディクション。エクスパンション。操作しやすくする画面上の変更。 ※日本でも障害を持つ人が自由に学べる環境を整えるため、 翻訳/文章責任 木島英登 2003年 6月 |