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別府 公衆温泉

2009年

別府には、市民のための公衆温泉がたくさんあります。
しかしながら、
車いすで入れる温泉を見つけるのは難しい。古い建物が多く、段差がたくさんあるからです。
海を隔てた四国、松山にある道後温泉を模したのか、階段のある掘りこみ式の構造なのも、車いすには不向きです。
その中で、段差のない「田の湯温泉」を発見しました。JR別府駅からも歩いていけるので便利。出張の際に立ち寄りです。 

無人かと思ったら、番台におばさんがいました。入場料100円。安い。まさに市民のお湯。
脱衣場までも段差なし。お風呂に入るのも小さな段差なので問題なし。シャワー椅子(高齢者用)が置いてあるのは嬉しい。

ところが、服を脱いでいざ温泉に入ろうかと思うと、番台のおばさんが脱衣場に入ってきて、困った顔をして私に言います。
「お客さん、車いすで温泉の中には入れません。降りてください。土足はだめなんです」

話がややこしいので、番台に戻って話すことにした。常連のおばちゃんも入れて3者での討議。

車いすで来た人が過去にいないらしい。過去に事例がないとの理由で入浴を断られる。
高齢者など車いすで来る人はいるでしょうと、逆に私から問いただすと、切断の車いすの人や、車いすの高齢者も来るらしい。
いずれも、道路に車いすを置いて、番台を這って移動して、温泉に入るらしい。 むごい。

車いすを外に置いて、床を這って脱衣場に移動して、着替えるのは嫌だし、無理だ。
お尻も汚れるし、なにより情けない。みっともない。そこまでして温泉には入りたくない。

「タイヤを拭いたらダメなのか?」
「お風呂場には入らない。せめて脱衣場までは車いすで行かせて欲しい」と粘った。
「全国の温泉に入っているけど、脱衣場に自分の車いすで行ってダメ!と言われたのは初めてですよ」とも言った。

困った番台のおばさんは、管理者である市役所に電話をして確認。そして、ようやくOKが出た。
せっかく段差のない構造なのに、車いすで入れてくれてもいいのに。床が汚れたら拭いてくれたらいいのに。融通が利かない。

改築して新しい施設で段差がほぼゼロで、浴槽に手すが有るバリアフリー対応なのに、ハート(心)にバリアが残る例です。
土足厳禁のところに、車いすのまま入るのは確かに汚れますが、タイヤを拭くとか、柔軟な対応をして欲しいなあ。