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* バリアフリー 日本の特徴 *

  
過剰な設備と、利用者側の多大な要求。

  
世界と違う常識 / 一方通行のバリアフリー / 前例主義



日本にしかない設備(1) トイレ 非常用ボタン/自動洗浄装置/斜めになった鏡

 非常用ボタンを押すような人は一人で行動しません。厳しい意見ですが、一人で行動するなら責任と体力も当人に必要だと思います。ただし病院では、非常用ボタンは必要です。病院の設備を一般に移行するのは間違っています。公園やビルなどで、もし仮に押したとして誰が来るんでしょうか。また管理に労力がかかります。よって無用の長物です。

 非常用ボタンの最大の問題は、洗浄ボタンと間違えることです。使いなれない人は混同するし、全盲の人、外国人には大きなバリアになります。肢体が不自由な人は便器への移動や着替えで体を大きく動かします。そのときに、誤って腕などがあたる可能性があり、気を使います。私も何度か当たりました。誤作動ばかりなので、非常用ボタンにはカバーがされたり、注意書きがされたりして、みっともないです。仮に、使うシーンを考えると、床に転げたりして起きれないときなどには、押せる位置にはありません。現在では、携帯電話を持てば済む話です。

 自動洗浄装置も必要ありません。誤作動が多いので水道代の無駄です。たくさんの自動洗浄機のある便器を利用しましたが、流れぱなしになることばかり。普通に流したいときにも、どこを押したらいいのかわからなく困ってしまいます。肢体が不自由な人の場合、着替えのときに便器を移動したり、排泄行為をするときに座位位置を変更したり、座る場所がバラバラだから、誤作動します。

 斜めになった鏡も日本だけです。(欧州で一部角度調節できる鏡があるところあり)障害者用トイレは、車いすだけが利用するものではないと思います。車いすで鏡をみやすくするなら、縦に長い鏡を洗面台に取り付ければ解決できるはずです。


日本にしかない設備(2) エレベーターの車椅子ボタン

 なんでボタンが2つもあるんでしょうか? 背の小さい人、車いすの人も、ボタンを押しやすいように、すべてのボタンを低くすればいいと思います。もちろんそうすると一般の人が使いにくい。なら中間の位置はどうでしょうか? 少し低い位置。世界では2つもボタンがあることはありません。コストがかかるし、無用の長物だから。専用施設は差別を産みます。

 「車椅子の方は、できるだけ付添いの方とお乗り下さい」の表示があることがあります。なぜ車椅子一人で行動したらダメなのでしょうか? 危険なのでしょうか? 大きなお世話です。複数のエレベーターがある場合、一つだけ車椅子ボタンがあることがあります。意味は高さが低くて押しやすいこともさることながら、優先的に呼び出されます。一台だけでなく、どのエレベーターにも乗っていいと思います。

 新宿の高島屋が最初に導入し有名になった、百貨店やスーパーの「障害者、ベビーカー」専用エレベーター。なぜ専用にするのでしょうか? すべてに譲り合って乗ればいい。大きな店内での移動は面倒です。優しさのない社会の典型的な対応方法です。もちろん多くの人が譲り合いをしないのでこうなったのです。悲しいことです。この専用化は解決ではなく、ますます分離が進み、バリアが再生産されると思います。


日本にしかない設備(3) スロープの手すり

 急激なスロープに手すりは必要でしょうが、勾配の緩いスロープには手すりが必要でしょうか。階段があり、その横にとってつけたようなスロープ。銀色に光る手すり。いかにも障害者設備。欧米では、そのような手すりはありません。日本は、まず階段。そしてスロープを作る。最初から段差のない構造にすればいいのに。配慮されていることに気づかない自然なものがいいです。いつも日本のスロープ(別入口)を使うたびに、自分は車いすなんだと認識させられます。


■日本にしかない設備(4) 点字メニュー

 日本では全盲の人への対応で、点字メニューや表字をすることが多いですが、間違いです。全盲の人すべてが点字を読めるわけではありません。中途失明の片など読めない人が多いです。飲食店で点字メニューを作ったところがありますが、会話でコミュニケーションすればいい話。点字を読むよりは、店員に尋ねれる環境をつくるべきでしょう。あるいは、白杖を持った人や困っている人をみたら、店員が尋ねる教育をすべきでしょう。これは別に障害を持つ人だけでなく、初めてきたお客さん、困っている人、外国人にも同じこと。聴覚障害や外国人対応としては、写真入りメニュー(視覚による情報)がいいでしょう。


日本にしかない設備(5) 点字ブロック

 ユニバーサルデザインでよく問題になる点字ブロックです。視覚の人にとってバリアフリーでも、車いすや肢体不自由の人には凸凹でバリアになるからです。駅や歩道の警告ブロックとしての存在はあっても、世界では日本のようなベタベタと貼りまくる点字ブロックは存在しません。

 点字ブロックに頼った情報提示ではなく、違う色の床、照明、色彩なども利用しています。景観に配慮する欧州では、日本のケバケバ黄色点字ブロックは考えられないようです。日本では、点字ブロックがあっても、適切な設置でなかったり、途切れたり、モノが置いていたり、完璧なものは求められません。行政や施設はバリアフリーにしたという責任を果たすだけのもので利用者のことまでは考えていません。

 点字ブロックだけがバリアフリーではなく、白杖の人に一声かけたり、案内してあげればいいことです。土建国家のハード主義ではなく、予算を教育や盲導犬育成などに廻したほうが、もっと効率よく視覚障害の人も動きやすいと思います。ソフト、ハード両面でのバリアフリーが必要です。


日本にしかない設備(6) 障害者手帳

 いわゆる障害者手帳は、日本とアジアの一部の国(韓国、中国、タイなど)にしかありません。障害者手帳を持っていると、いわゆる障害者福祉という行政サービスを受けることができます。

 障害者手帳のない国でも、医療補助、交通機関利用、公的機関利用など、それぞれ困ったことに対して福祉や優遇をするための証明書はもちろん存在します。困ったことに対しての手助けを都度、決定していく。そこに障害者と健常者の境目はないのです。

 障害者手帳の最も大きな弊害は、障害者をひとくくりにしてしまうことです。皆、それぞれできることがあり、状況も事情も違うのに、「社会的弱者」「助けが必要な人」「保護される人」となってしまうことが大きな日本の問題です。