10回目のフランス訪問にして、初めてのTGV搭乗。パリのリヨン駅から、スイスのジュネーブへと向かう。切符は、ドゴール空港の駅で前日購入した。車いす席の予約購入発券は5分で終了。日本の新幹線の車いす席だと30分はかかる。かつて電話予約で6時間かかったこともある。フランスは簡単だった。 大きなリヨン駅。終着駅なので、たくさんのホームがある。自分の列車がどのホームなのか確認が必要。改札はないので自由に通行できる。座席についてから、検札ですね。
公衆トイレは少ない。やっとホームの端に見つけたトイレは有料。車いすも有料だった。これは欧州では珍しい。広いUDトイレが2つあった。障害者専用でなく、ベビーカーや高齢者も使っていいよと。有料だけあって、とても清潔で、天井にはミラーボールがあったのは笑ってしまう。時間に気兼ねなく使えたので、ゆっくりと大をすることができて一安心。これからの長距離移動に備える。
TGVに限らず多くの列車は、ホームと車両に大きな段差があるため、駅に介助サービスを依頼する必要がある。大きな駅には、介助サービスの受付がある。赤い服をきた職員がそのスタッフ。
介助スタッフと一緒にホームへ。私が乗るTGVがあった。車いす席は、1等車両にある。乗車券は2等席の値段であるから、優遇というわけ。欧州でよく見られる配慮である。たいてい車いす席は1等席の車両に作られる。
段差解消の手動リフトです。 ところが、ホームの柱が邪魔になって乗れない。でも大丈夫。手動リフトを少し横にずらして、斜めにして列車に乗り込みました。 車いす席は1等車両の座席を2つ取り除いたところ。車いすで入れるトイレはデッキにあります。車いすのままでも良いし、座席に乗り移っても良し。1等席なので快適なシートです。2+1列なので広い。新幹線のグリーン車は2+2列で狭いので大きな違い。
同じ電車に、車いすの他の乗客がいました。彼女は車いすのままの座席だった模様。でもそれでは快適じゃないので、私は1人で付添もおらず隣の座席が空いているので、そこに座ることになりました。
安い料金で乗っているのに、サービスは1等車。無料の新聞サービス。コーヒー、軽食付き。豪華で快適でした。ところで車内は静かでとても快適。無用なアナウンス無し。出発の合図もなし。 到着のジュネーブ駅もやっぱり手動リフト。ホームと車両の大きな段差は大変ですねー。きちんと駅員に連絡が伝えられていたので、無事に降りることができました。 幾つかのスキー場で、障害のある人へのスキーサービスがあります。タンデムフレックスというスキー。重度な障害があっても滑れる優れた道具もあり、私が滑りにきたときは、老人ホームのデイサービスで高齢者が来てました。1回30分ぐらいの滑降を交代で楽しんでいました。
プログラムを遂行するのに欠かせないのが、各種器具。その倉庫です。色んなチェアスキー(シットスキー)、アウトリガー(小さいスキーの付いたストック)、介助スキーがあります。
こちらは夏のプログラム。マウンテンバイクのダウンヒルです。自分で操作したり、介助がついて降りるのもあります。リフトにも乗れます。最高ですね。 ラ・プラーニャという高級リゾート。障害のある人のスキープログラムがあり、世界から人が集まります。ゲレンデに直結したロッジが素晴らしい。中にはエレベーター。身体の不自由な人は近い場所での駐車場あり。車いすの場合、スキー場へのアクセスが問題になるのですが、ここなら簡単。ゲレンデまで段差なし。テラスにあるレストランも、最高の眺めです。
百聞は一見にしかず。介助スキー(タンデムフレックス)の動画をご覧ください。
欧州の古い街並み、石畳の歩道は景観は素晴らしいのですが、車いすやベビーカーには振動がきつい。こちらの車いすは固定式で頑丈で、ベビーカーもタイヤが大きくサスペンションがあったりします。観光地の場所では、石畳の一部が平らになっていました。露骨ではなく自然な形がデザイン重視のフランスです。
点字ブロックには2種類あり、警告と誘導。日本の黄色いタイルだと、車いすには衝撃、雨のときは杖や靴が滑るのが問題なんですが、それを解決するもの。ゴム製、幅は細いが、素材が床と違うので、ハッキリと触覚で認識可能です。非常に素晴らしい誘導ブロックだと思います。写真は、ポンピドゥセンター(現代美術館)と、福祉展示会です。ちなみに点字ブロックは街中にはありません。
ドゴール空港駅にある誘導ブロックです。
TGVの発着駅でもあるリヨン駅の誘導ブロックです。ゴム製で滑りません。色も景観を崩してません。コントラストがあるので識別も可能です。
日本では要約筆記と言われます。日本語は漢字変換があるので、タイピングは時間を要します。アルファベットだと簡単です。手書きはなく、もちろんコンピューターでの画面映し。フランスのセミナーでは、そのタイピストが会場にいません。自宅(あるいはオフィス)からのインターネット中継。素晴らしい技術とアイデアです。どこでも仕事ができる。手間(移動時間)と費用(交通費)の節約になる。簡単なので利用が増える。雇用が生まれる。大学の授業保障でも使えますね。
もちろん車いすトイレがあります。日本のように別離で大きなのが一般的です。写真のように一般トイレが階段なのは残念です。車いすトイレに先客がいれば、待たないといけないから。その一方、デザイン性には目を見張ります。お洒落で美しい。トイレを使うのも楽しくなります。
空港のバスターミナル、列車ターミナルに直結して、たくさんの空港ホテルがあります。その中で安いイビスホテル。各階に車いす対応部屋があります。その数は、10以上あり。バスルームが少し広く、シャワー椅子が壁に取り付けられています。日本の玄関口、成田空港では半分のホテルが車いす対応部屋なし。あっても1つしか部屋がない。そもそもシャトルバスが階段で車いすNG。 ターミナルに隣接するホテルも無いし、都内も遠いし、選択肢がない。2020年オリパラと騒いでいますが、玄関口の空港をまずなんとかしないといけません。
パリ 近郊列車 (2013年 撮影) パリの地下鉄は、バリアフリーは全然ダメ(古いから改造も難しい)なのですが、近郊列車(RER)は半数の駅がバリアフリー。広い改札あり。エレベーターもあるのですが、よく壊れています。
車両は段差がほとんどなく、問題なく乗れます。 パリ中心の主要駅。エレベーターの位置表示があるのは嬉しいです。 ホームから、コンコースへのエレベーター。階段の横に作られた斜行エレベーターでした。初めて見ました。面白いアイデアですね。古い施設をバリアフリーにする苦肉の策なんでしょう。
シャルル・ドゴール空港の駅ホーム。一番奥が底上げされていて、段差の解消を行っています。上記の中心部の駅のように全てホームが高く車両とホーム段差がないこともあります。
バリアフリーな都市計画で有名なフランス、アルプス地方の街です。人口15万人ですが、3本のLRTが走ってました。もう一路線も工事中。もちろん全てが完全バリアフリー。日本だと、この規模の都市では電車はないでしょう。バスも衰退でしょう。有り得ない公共交通の充実ですね。
シャモニーから、欧州最高峰モンブランを拝む、展望台までのロープウェー。乗場は新装され、完全バリアフリーに。ゴンドラも段差なし。乗換も、展望台もフルフラット。最後に岩山をくりぬいたエレベーターで、3842メートルまで。誰もが簡単に富士山の頂上の高さにいけます。ただし、空気が薄く、寒いので注意を。2800メートルを10分で上がります。世界的な観光地。バリアフリーなのは嬉しい限り。
バリアフリーと関係ありませんが、展望台からのモンブラン。雲がかかって頂上は見えませんでしたが、絶景です。 山の形としては、グランドジュロスが格好いいですね。車いすでもこんな景色が見れるなんて感動です。
乗場の正面は階段ですが、横にまわれば自然なスロープがあります。
モンブランへのロープウェー乗場の近くにある繁盛しているパン屋さんのトイレです。女性用に車いすマーク有り。いわゆる車いす兼用。スペースが広いゆったりトイレになっていました。
ニース空港のトイレです。フランスでは障害者用トイレとして、別に作られることが多いのですが、兼用でした。米国に見られるデザインです。一般トイレの一つを大きくして車いすでも使えるようにする。ユニバーサルデザインの思想。日本でもこの考えやデザインが増えてきましたが、フランスでも普及しているようです。
リヨン空港のトイレ。こちらも一般トイレの中に、一つゆったりとした車いす対応トイレがありました。専用にするのではなく、共用にする。そして設置を増やす。いい考えだと思います。
おまけですが、オリエンテーリング世界選手権の会場にあった、車いす対応簡易トイレです。
聖地ルルド (2007年 撮影) フランス南西部ピレネー山脈の麓に、カトリック教徒の巡礼地「ルルドの泉」があり、多くの信者が訪れる。温泉リハビリ病院、教会施設など、日本語でいうところの湯治場になっており、難病、重度障害、疾病者が多くいる。大聖堂は新しいためかバリアフリーが考えられて作られている。自然な形のスロープが素晴らしい。
訪問時、イタリアからの団体がミサを行っていたので見学させてもらった。歴史あるルルドの車いすに乗って、多くの治療者が、看護士に連れられ参加していた。羽織っているキルトは、皆それぞれ違う模様なため、寄付されたものであると推測される。
ルルドには多くの信者が訪れる。山間の町だが、巡回バスも走っている。もちろん低床バリアフリー。バスのラッピングデザインが素敵だったので、写真撮影。
南部トゥールーズの市街地の歩道です。車道とすれ違うところも段差がありません。縁石の代わりに、円柱を建てています。いわゆる歩行者優先の設計です。とても歩きやすいです。 隣のスペイン。市内中心部に歩道と車道の段差はなし。車止めがありました。とある町では、通行可能車両だけ、リモコンで車止め(ライジング・ボラード)が降りて通行していました。
欧州の有名観光都市どこでも見られる、市内周遊二階建て観光バスですが、バリアフリーです。残念ながら二階には上がれませんが、そこまで求めるのは筋違いというところ。 こちらは、通常の市内バス。パリ市内を走るバスのほとんどがノンステップです。快適に市内を移動できます。私が最初に訪問した1994年はありませんでした。2001年のときに一部路線で導入されており、2007年は100%近いです。日本では一向にノンステップバスが普及しないのに、欧州では一気にノンステップバスが主流にりました。すごい違いです。
シャンゼリゼ通りのファッションビルです。スロープがつく時代になりました。景観を崩さずいい感じですが、米国なら配慮していることすら感じさせないように全てを緩やかに傾斜にするでしょう。しかし、大理石は雨天時に滑りやすいため、敢えて階段を残しているのかもしれません。 以前は気づかなかっただけかもしれませんが、パリ中心部には歩道に点字ブロックがありました。日本の黄色では派手なため、白色になっています。珍しい色ですね。横断歩道の手前だけに警告ブロックとして、凸があります。
パリ モンパルナス駅のエレベーターです。誘導ブロックがありました。珍しいです。白杖の人の利用があるのでしょう。改札まで、細い誘導ブロックが続いています。エレベーター内部のボタンが横にありました。地上に出る部分は緑色で表示しています。
電車は段差がありました。いっそのこと段差をなくして欲しいものですが、フランスではこれはマシなほうです。 ベルサイユ宮殿と、ベルサイユの駅です。ホームにはエレベーター。さすが観光地といったところでしょうか。改札には車いすが通れる広い部分もあります。ですが電車はやっぱり段差。ホームが低いため、パリより段差が大きいです。
南西部バスク地方。バイヨンヌの観光案内マップには、なんと車いすで楽しめる散策路の表示がありました。レンタカーだったため、そのうちの一つの森を訪問。緩い勾配、広い道。車いすで森林浴が楽しめるなんて素敵ですね。
LRTが普及するきっかけとして世界的に有名な街。優れたデザイン、交通計画、利便性、見本となる施設です。自動車を市内中心部に立ち入り禁止にするゾーニング、中央駅もデザインを統一しており、素晴らしいです。行政の思い切った改革に拍手です。 市内を走るLRTは観光にも、とっても便利です。
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