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ロシア バリアフリー写真

 
ソチ ワールドカップスタジアム  (2018年 撮影)

サッカーワールドカップの観戦のために、ロシアを訪問。現地で3試合を観戦した。1試合目は、2014年に冬季五輪が開催されたソチ。バリアフリーに期待したら、スタジアムは完璧。駅(バスターミナル)から、スタジアムは遠いので、カートの無料サービスあり。車いすのまま乗れるのも有り、利用させてもらう。

会場にいたボランティアの一人が、車いすでした。ブラジルでも車いすボランティアを見ました。東京オリパラでも、障害当事者のボランティアを積極的に導入してもらいたいもの。

ワールドカップは、お祭り。スタジアムの外で色んなことが起きる。地元の美女達が太鼓パフォーマンス。

ソチのスタジアム。車いす席は完璧。サイトライン(目線)も確保。とても見やすい座席。世界中のスタジアムを訪れましたが、最も見やすいスタジアムでした。ベルギー対パナマの試合を観戦。

パブリックビューイング  (2018年 撮影)

ワールドカップの開催都市では、ファンフェストというパブリックビューイング会場があり、そこに多くの人が集まって一緒に観戦します。日本の初戦コロンビアとの試合は、サンクトペテルブルグにて。ロシアとエジプトの試合が夜にあるのでうるさい。世界中のサッカーファンが集まってます。車椅子はVIPが入るエリアに入れ殿様気分で観戦。でも集団に揉まれる方が楽しいかも。でも雨が降っても屋根があり安心。混雑しても視線が遮られることなく安心。会場にはコロンビア人が数百人いることもあり、コロンビアに勝って欲しい雰囲気でした。日本人は10名ぐらい。溜め息ばかりの会場で、寂しく勝利を祝いました。
 

空港の車いすサイン。面白いデザインでした。

エカテリンブルク 友人宅  (2018年 撮影)

ロシアの友人宅。トレイルオリエンテーリングの世界大会で知り合いました。彼女はロシア代表。私は日本代表。2005年、日本の愛知で世界大会があったとき、ロシアチーム4名(彼女も含む)が私の家に、8泊しました。いつか彼女の家にも泊まりに行きたい。ちょうど日本がワールドカップで試合することになったので、チケットを取り訪問したわけです。

彼女は現地でバリアフリーコンサルタントとして活躍中。その彼女デザインのバスルームは素敵でした。私にも使いやすい。

ロシアのハンドコントローラー  (2018年 撮影)

オートマを手で運転する装置です。日本と違います。それぞれの国に独自の福祉器具あり。二人で外出したときは、2台の車いすは通行人に積み下ろししてもらいました。気軽に手伝ってくれる。彼女も年齢重ねたので、もう自分では積まず、いつもそうしているのだとか。マレーシアの車いす友人も、通行人に積み下ろしを頼んだり、ガソリンスタンドなどは誰かに入れてもらってます。

日本では、車いすの積み下しを見ず知らずの通行人に頼んでいる人は聞いたことがない。私も頼んだことない。大きな機械や装置をつけて積み込むのも方法ですが、人的ヘルプも簡単で有りですねー。足にバンドをして固定しているのは、13年前に来日したときに私がしていたのを見て真似するようになったとのこと。映像をご覧ください。

 

公園でトレーニング  (2018年 撮影)

地元のトレイルオリエンテーリングのクラブの練習会に参加。6月で夏のはずなのですが、寒い日でした。翌日は初めての夏日になり、Tシャツで過ごせました。車いすの人達が公園に集まれる。いい感じです。

ワールドカップ観戦 エカテリンブルク   (2018年 撮影)

エカテリンブルクでは、2試合を観戦。 フランス対ペルー。 日本対セネガル です。各スタジアムの車椅子席は100‐200席以上。地元の車いすの人もたくさん集まり、ほぼ満席の試合もありました。車椅子で観戦できる喜びに浸ってました。券売、アクセス保障もバッチリ。ロシアはバリアフリー遅れてましたから、変化のきっかけになってます。オリパラは1都市だけど、W杯は複数都市の開催なので、影響がとてつもなく大きいようです。

FIFAは、年々、車いす対応が良くなっています。ワールドカップの車いす席もたくさん作って、その販売もネットで簡単に申し込めるようになりました。スタジアムへのアクセス保障もバッチリ。駐車許可証を発行してくれるし、公共交通も空港から、市内中心部から、バリアフリーが保障されています。

エカテリンブルクの車いす席。残念ながら、デザインは最悪。ガラスが邪魔。手すりが邪魔。前の人が立つと見えない。全然ピッチが見えないので、試合は楽しめません。 FIFAの担当者にも苦情を言いました。彼らもスタジアムを借りているだけで、設計まで強制力はありませんが、フィードバックするとのこと。私の友達も、この町でバリアフリーコンサルタントとして活躍しているので、せめてガラスだけは外してもらおうと言いました。いつか変更されるといいなあ。

車いす席。座ると見えないので、皆さん立ってみる。立てない人は隣が邪魔で見えない。立見客やスタッフも紛れこんできて最悪。次の試合では、その苦情があったのか、車いす席での立見は禁止というルールが一応伝えられました。

日本の試合  (2018年 撮影)

エカテリンブルクの2試合目は、公共交通にて。市内中心部から、リフトタクシーが走っていた。耐荷重は世界基準の300キロ。日本だと200キロなのに重たい。体が大きいですからね。日本も早くリフトが重たい電動車いすも対応できるようになって欲しい。

前の試合にはなかったスロープ。ケーブルが邪魔で段差に苦労しましたが、その解消に作られたようです。すぐに対応してくれるのは良いこと。

素晴らしい日本代表の活躍。現地で応援できました。

試合後は、歩いて市内へ戻る。下り坂で2キロ弱。セネガルのサポーターとも記念撮影。

市内中心部のメインストリートには、路上ディスコ。お金ない若者が集まっています。もちろん無料。大音量も商業地ですから気にならない模様。貧乏でも楽しめる良いアイデアですね。深夜12時。長い夏の夜。興奮した試合の熱気は冷めそうにありません。 車いすでも踊れよ!と仲間に入れてくれました。平和な夜。


モスクワ シェレメチボ空港エクスプレス  (2014年 撮影)

2008年開業と新しい路線。完全バリアフリー。この鉄道ができたおかげで車いすのモスクワ旅行が可能になったともいえます。
タクシーは、値段がとても高い。大渋滞で時間がかかります。よって、それまでは、バスで地下鉄の駅に移動し、そこからモスクワ市内へ移動が方法。でも、その地下鉄は階段です。

空港ターミナルの切符売場。自動券売機が高い。車いすの私は画面が見えない。日本もそうですね。。。タッチパネルを地面と垂直にすると、背が低くても画面が見れて、操作もできるのですけど。隣に有人の切符売場があるので問題ありませんが、急いでいるときは、パッと自動券売機で買いたいもの。

到着した列車の客が全部降りてから、入れ替えでホームへ入場。特殊なシステムですね。

車いすなので、一番最初に優先的にホームへ入れてもらいました。ここで改札。 市内から空港へ来るときは、電車に乗る際に検札がないので、降りるときのチェックになります。そんなこともあり、入れ替えでのホーム入退場になるようです。

車いす用の広い改札も1か所ありました。ですが、普通の改札も十分な広さがあります。体の大きいロシア人だからかな。目視ですが、約65センチ強の幅。日本の鉄道は約55センチ。60センチあると多くの手動車いすが通過することができます。

駅舎は新しく開放的です。列車も赤色で格好いいです。ホームも高く、車両との間に高さの違いはありません。

車いすスペースのある車両への乗り込み。警備員さんが、スロープを出してくれました。手動式の折り畳み。ほとんど段差もないので、自分でも乗れると思うのですけど。ただホームと車両の隙間が広いです。理想を言えば、スロープを出さずに、車いすであっても単独で乗り降りできると良いです。

車内の様子。2席+3席シート。1列の2席が取り外され、車いすスペースになっています。私は車いすをここにおいて、座席に乗り移りました。

同じ車両に、車いす対応の広いトイレがありました。シンプルで十分な設備。扉は手動。もちろん引き戸。扉とトイレに敷居の段差が2センチぐらい残っているのが、ロシア品質かな。車いすで入るとなると、つまづきます。最後のところ仕上げがイマイチ。もったいないです。それでも車いすで入れるトイレがあるのは良いですね。ドアも広すぎるぐらい大きいです。

35分後。モスクワ市内のベラルースキー駅に到着。到着時は、駅員は介助にこず、スロープを出す人がいなかったので、前輪を上げてウィリーで降りました。乗るときに、車いすの客がいることはわかっているので、降りる駅に連絡しているか、車掌が対応するものだと思ってました。至れり尽くせり駅員が介助する日本と世界は違いますね。

驚いたのは、駅舎に屋根がないこと。雨の日はどうするんだろ? 極寒の冬もどうするんだろ? まあロシア人は寒さには慣れているんでしょうけど。出るのもゲートを歩いて退場。

ベラルースキー駅は、近郊列車、他の特急とも兼用の駅。大きな駅です。終着駅のホームもあるので車いすには良いですね。

こちらは市内から空港へ行くとき。ロシアらしい色彩の駅舎。スロープ設置されています。

切符売場と、その待合室からホームにでる扉。階段の横にスロープもありますが、その傾斜が急です。日本だとありえない角度。まあ絶対にダメかと言われたら、問題ないレベルです。少なくとも設備がないよりは良い。そのレベル。


サンクトペテルブルグ ヘルシンキ行きのホーム  (2006年 撮影)

ロシアからフィンランドに行く国際列車のホーム。綺麗でした。ホームは長いスロープでアクセス可能。エレベーターも良いですが、このスロープも大きな荷物を持つ人とか多いので良いですね。私は好きなデザインです。

 
モスクワ 公衆UDトイレ  (2014年 撮影)

旧共産国などは、街の広場などの公衆トイレは地下が定番です。ところがモスクワに、パリのような新型公衆トイレが観光地などに設置されていました。2つのうち一つが車いすが入れる。でも入口に段差があったりします。スロープあるところもありますが、中途半端です。ロシア品質。有料で使い方がわからない、非常事態には遭遇しなかったので、私は利用していません。市民の利用もまだ少ないようです。

 
空港 車いすトイレ  (2014年 撮影)

そもそも普通のトイレのドアが広く、有効で65センチとかあったりして、車いすが通ります。シェレメチボ空港の新しいDターミナルの車いすトイレのドアは、1メートルぐらいありました。国土が広いロシア。スケールが違います。

大は小を兼ねますが、大きすぎるのもちょっと。扉は重たくなるし、スペースが大きくなる。ちなみに便座も頑丈です。ロシア人の体重は思いから。しかし穴は小さいのも特徴。汚さないようにかも。ふたが無いのも特徴です。壊れたりすることもあるかもしれませんが、そもそも無いことも多い気がします。

  
モスクワ 美術館  (2014年 撮影)

モスクワを代表するプーシキン美術館。入口は階段だけでした。スロープなし。裏口にエレベーターとかもなし。有名な美術館で、バリアフリー設備がないのは驚きました。警備員が3人で担ぐというので、言葉に甘えて来館。すると中も階段でした。トイレは階段で地下。車いすトイレも無し。担いでくれるのは有り難いですが、公共の文化施設、世界的な観光地ですので、バリアフリー化して欲しいもの。私とは別に、車いすの高齢女性(外国人観光客)が介助者と来館していて、やっぱり担がれてました。

こちらは、軍事博物館。傷痍軍人も多いと思うのですが、入口は階段だけ。中も2階に行くには階段。軍人さんが担いでくれますが、彼らを呼んでもらうのに待たないといけません。力持ちなのは嬉しいですけど、設置スペースはたくさんあるので、スロープが欲しいです。


サンクトペテルブルグ エルミタージュ美術館  (2006年 撮影)

世界屈指の美術館。私の中では世界一です。素晴らしい建物、展示、雰囲気。こちらは流石に入口にスロープがありました。展示室の中もエレベーターや、車いす昇降機が設置。車いすトイレもあり。

  


モスクワ 救世主ハリストス大聖堂  (2014年 撮影)

車いすマークの段差解消された入口がありました。教会もすんなり入れるかと思ったら、階段の横に昇降機。ボタンを押して係員を呼ぶ必要があります。横とかにスロープ設置すればいいのに、どうして昇降機なんだろう? いちいち面倒です。時間もかかります。自力で動けないのは完全なバリアフリーではありません。

 


サンクトペテルブルグ カザン大聖堂  (2006年 撮影)

街を代表する教会。スロープがありましたが、階段にレールをつけただけ。急です。危ないです。サイズが合わないことも。すべての人を受け入れる(と思っています)協会が、階段だけとは悲しくなりました。バリアフリーが遅れているロシアを象徴しています。


モスクワ ニクーリン サーカス  (2014年 撮影)

サーカスを見に行きました。でも入口は巨大な階段。裏手にチケット売り場がありそうだったので、段差を押してもらいながら内部へ。そのチケット売り場へはスロープあり。バリアフリーにするなら、一部だけでなく最後までやって欲しい。外の段差解消して欲しい。

車いす席というのはなく、通路の横で見ることになります。最前列の特等席。出演者が横を通りまくります。チケットは必要で、どの席を買うか迷いましたが、安い座席を買って正解でした。入退場はチケット売り場の従業員の扉から。

 
サンクトペテルブルグ マリンスキー劇場  (2006年 撮影)

ロシアといえばバレエ。最も有名なマリンスキー劇場のチケットがインターネットで買えました。「車イス席はないのか?」と尋ねたが、「車イス用の席は無い」との返事だったので、なるべく段差のなさそうな1階のバルコニーを購入することにした。8人定員なので、ちょうど我々8名のグループで占拠できるのでバッチリでした。

鑑賞日。予想はしてましたが、バリアフリーの配慮が何もなし。世界的な劇場なのに。。。内部は段差ばかりで困ったもの。職員も何も手伝わない。ロシアでした。 ただし演目は素晴らしいの一言。夢の世界にタイムスリップ。純粋に肉体だけで表現するバレリーナに感動。バリアフリーがなくても、こんなに素晴らしい演目を見れたら幸せです。

 


何車線もある道路  (2014年 撮影)

モスクワの道路は大きいです。片側5車線なんて甘い甘い。片側8車線の道もある。よって横断歩道はなく、歩行者は地下道をくぐります。もちろんそれは階段のみ。横断歩道や信号はほとんどない。車いすの私は横断歩道を探すか、車が途切れるのを待って、突入するのみ。かなり大変です。危険です。


車いす 大きな前輪  (2014年 撮影)

足を骨折した人が乗っているのは、空港の車いす。前輪が大きいです。7インチ。日本では、5インチが基本ですが、海外では7インチや8インチ。道路が悪いのがサイズが違う理由の一つ。場所が変われば、モノの標準も違う例です。 言い換えれば、日本の車いすだとロシアの街はガタガタで歩きにくいです。

 
低床バス  (2014年 撮影)

モスクワ市民の足は、地下鉄(メトロ)ですが、残念ながら、階段ばかり。新しい路線ではエレベーターが設置されたりしていますが、それは郊外の駅ばかり。中心部はほぼ全滅。その代り、バスは多くが低床でした。東欧に多いロータリーバスも低床になっていました。乗車しましたが、スロープは手動式。乗務員は親切でした。ただバス停に路線図はなく、表示もロシア語(キリル文字)なので、乗りこなすのは難しいです。