研究所紹介 代表プロフィール コンサルティング 講演/研修 研究員 お問い合わせ
木島英登バリアフリー研究所トップページ


Travel for All トップページ

世界の事例紹介 日本のバリアフリーの特徴 豆知識 考察 リンク

 
高野山 & 谷瀬のつり橋

2012年

世界遺産「高野山」。大阪の中心からは、自動車よりも電車の方が早い。難波から、南海電車で極楽橋駅へ。そこでケーブルカーに乗り換える。ケーブルカーの高野山駅と極楽橋駅のバリアフリー化工事が完成(2009年)したことは聞いていた。

ケーブルカーに乗れるのはとても良いのだが、そこから更にバスに乗換が必要である。残念ながら、そのバスが車いすで乗れない。1台だけノンステップバスが運行も、それでは利用は現実的でない。よって最後は、タクシー(約2000円)に乗るしかない。今回は奈良南部観光の帰りに自動車で立ち寄った。

南から来たため、いきなり奥ノ院の前の駐車場へ。高野山の駐車場は多くが無料。とても嬉しい。車いす用駐車スペースも有る。横断歩道の前。一番近い場所。ほとんど満車だったが、運が良いことにマナーが良く空いていた。この後に行った金剛峯寺前では不法駐車されていた。しかしながら、駐車場も多く、広いため、どこかに停めることができるので安心。

駐車場から横断歩道を渡って、奥ノ院へと続く道を歩く。600メートルの石畳。平らで車いすOK。

案内所には、レンタル車いすが置いてありました。中の橋案内所には電動車椅子(ハンドル型)貸出も。長距離の歩行が大変な高齢者の参拝や墓参りなどに使えます。レンタル車いすがあるということは、中が見られるという安心感。どこまでも進んでいきます。

武将や偉人、たくさんのお墓が並んでいます。企業のお墓も多いことに驚きました。スロープのあるお墓も発見。UCC上島珈琲さんのお墓です。

途中で左へ。少し坂になりますが、問題なし。車いすで進みます。砂利道や、未舗装道路は一切ありません。

樹齢の長い大木に囲まれ荘厳な雰囲気に。いろんなお墓があり、まさに霊場。車いすで参拝に来られる人も多くみました。障害のある人ではなく、多くが高齢者で長距離歩行が大変な方が家族と一緒に。

階段のあった部分は全て横にスロープが。景観を崩さず自然な形のバリアフリー。とってつけたような設備でなし。素晴らしい。奥ノ院すべてのエリアに車いすでアクセス可能。こんなに見られるとは思ってもいませんでした。

最深部にある弘法大師さんの御廟。正面は最後に階段のため、横からスロープで上がります。案内板と地図もあるので、とても親切。この看板や情報を知らないと参拝を諦めてしまうこともありますから。

水掛地蔵さんの前を通り過ぎ、右手へ。車椅子参拝通路へ。

もちろん、車いす対応トイレもたくさんあります。

御廟へと続くスロープ。写真に映っているのは燈籠堂。御廟にも、燈籠堂にも、スロープがあり、いずれも車いすでアクセス可能。全部見ることができました!

 
続いて、金剛峯寺へ移動。こちらは正面が階段。ちょっと車いすでは入れません。見所がとても多い高野山ですが、車いすでアクセスしやすいのは、奥ノ院だけのようです。

金剛峯寺。裏手。東側の入口は、階段の段差が緩やかで、介助人がいればなんとか車いすでもアクセス可能。ただし最後に門の敷居があります。

 

失礼ではあるが、意外にも車いすでも観光できることに驚き。一昔前までは、神社仏閣はアクセスすらできない状況だったが、時代の変化ですね。今後は点ではなく、線でつながるように、公共交通で高野山が参拝できるようになるといいですね。


谷瀬のつり橋

高野山から、南東へ。車で1時間。山を超えて奈良県十津川村に、長い吊り橋がある。駐車場にあるトイレは、段差解消。右手に小さいが車いすが入るトイレも有り。バリアフリーな施設をみると、ほっと安心する。車いすでも歓迎されている。拒絶はしていない。楽しめそうと感じる。

駐車場から吊り橋まで、100メートルちょっと。坂を下りて上る。急ではあるが、車いすも押してもらえば大丈夫。乗用車の駐車料金は500円だが、車いすで降りた私を見て、おばちゃんはお金を返金してきた。障害者は無料だということ。恐縮である。払うといったが、要らないという。浮いたお金は、お土産物を買ってお金を落とすことにした。

吊り橋に到着。地元民もかつては生活路として頻繁に通行していた。自転車や原付バイクに乗って渡る(観光客は禁止)ということも聞いていたので、車いすでも渡れる!と考えていた。

係員に止められるかな、注意されるかなと思ったら、何もなし。快く送り出される。全長297メートル。高さ54メートル。多くの人が歩くと、かなり揺れます。怖いです。

絶対に床に穴が開くことはないとわかっていても、木なので不安に。住宅も木造で、頑丈なのにね。縦につながれた板の隙間にはまってしまわないかとも不安に。1センチもないのに、はさまるわけないと理屈でわかっても隙間から谷底が見えると怖くなる。

揺れる地面の上を歩くのは初めての経験。まっすぐ進んでいるのか不安になります。肩をすぼめながら、ちょっとずつ進みます。心臓はバクバク。初体験にドキドキ。心拍数はマックスに! まっすぐ進めるとわかっていても、念のため足元をみながらこぎます。すると怖さが倍増。三半規管も歩かないので鈍るのか、平衡感覚は弱くなります。

下を見ると怖いですねー。落ちないとわかっていても揺れると怖い。

無事に渡り切りました。帰りは慣れもでてきて、行きよりは余裕を持って渡ることができます。車いすの人も、ぜひチャレンジしてください。非日常、恐怖体験が味わえます。めちゃくちゃ面白かったです。ちなみに入場料は無し。充分に楽しんだので、募金箱に小銭を入れて帰りました。十津川村まで、ドライブしにきた価値がありました。新緑もとてもキレイでした。紅葉の季節も最高でしょう。