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映画館
 

論点  車いす専用席を作ればバリアフリーなのか?
選択  座席に移って見られることも大切。同伴者と一緒に座れる。選択の自由。
ソフト  ハードだけでなく、ソフトのバリアフリーも。 

 
六本木ヒルズ  (2005年 訪問)

私事ですが、妻との最初のデートが、六本木ヒルズでした。軽く食事をしてから、映画を見ようと計画。ロマンチックな恋物語「オペラ座の怪人」が上映されていた。カップルで見るには最高だと作戦を練っていました。

全て指定席。どこでも座りたいところが選べるが、車いすにはその権利がありませんでした。通路沿いの席に座りたいのだが、「車いす用の座席がございますので、そちらで観賞ください」の一点張り。好きな女性と横に並んで座って観賞したい。車いす席に座ってしまうと、同伴者と離れ離れになってしまう。

頭の固い人をいくら説得しても無理。とりあえず、車いす用座席を購入し、映画が始まってから、空いている席に乗り移りました。上映が始まる前に、館内チェックにきた係員に「車いす席で見てください」と注意されましたが無視。

映画「オペラ座の怪人」は素晴らしく、胸打つ音楽、怪人の切ない恋、思わず手を握ってしまい、ラブラブになれました。手すりが上がるカップルシートのため、ピッタリ引っ付いての映画鑑賞。もし、車いす席なら、手を握ることもできません。大事なことです。ひょっとしたら妻になっていなかったもしれません。初デート。最初が肝心ですから。

 

車いす用の観賞スペースがあることは、とても良いことですが、そこにしか座れないのはいかがなのものか?もちろん、その場所で見たい人もいるだろう。一方で、座席に乗り移って映画を見たい人も多いはず。ふかふかのシートに包まれて、非日常の映画館の雰囲気を楽しめるから。

映画館によっては、「専用席で見ますか?座席に移りますか?」と聞いてくれるところもあります。素晴らしいことです。バリアフリーの設備があるからって、それを使わなければならないわけではありません。一つの選択が増えたと考えるべきです。

そもそも専用スペースにするから問題なのです。発想の段階から別離の意識を持っているのです。一緒に見るという発想があれば、専用スペースのようなデザインにはなりません。

歯抜けのように、車いすのままでも見れる。座席にも移動できる。同伴者も一緒に見れる。これが理想のデザイン。上写真は、大阪箕面109シネマの座席図です。日本で見ることは稀なのが残念です。

この写真は、米国の映画館です(2008年撮影 シアトル)。標準的な設計です。車いす席は設置されていますが、座席にも移って見ることができます。専用席という無粋なことになっていません。デザイン設計の根底が違います。