私事ですが、妻との最初のデートが、六本木ヒルズでした。軽く食事をしてから、映画を見ようと計画。ロマンチックな恋物語「オペラ座の怪人」が上映されていた。カップルで見るには最高だと作戦を練っていました。 全て指定席。どこでも座りたいところが選べるが、車いすにはその権利がありませんでした。通路沿いの席に座りたいのだが、「車いす用の座席がございますので、そちらで観賞ください」の一点張り。好きな女性と横に並んで座って観賞したい。車いす席に座ってしまうと、同伴者と離れ離れになってしまう。 頭の固い人をいくら説得しても無理。とりあえず、車いす用座席を購入し、映画が始まってから、空いている席に乗り移りました。上映が始まる前に、館内チェックにきた係員に「車いす席で見てください」と注意されましたが無視。
車いす用の観賞スペースがあることは、とても良いことですが、そこにしか座れないのはいかがなのものか?もちろん、その場所で見たい人もいるだろう。一方で、座席に乗り移って映画を見たい人も多いはず。ふかふかのシートに包まれて、非日常の映画館の雰囲気を楽しめるから。 映画館によっては、「専用席で見ますか?座席に移りますか?」と聞いてくれるところもあります。素晴らしいことです。バリアフリーの設備があるからって、それを使わなければならないわけではありません。一つの選択が増えたと考えるべきです。 そもそも専用スペースにするから問題なのです。発想の段階から別離の意識を持っているのです。一緒に見るという発想があれば、専用スペースのようなデザインにはなりません。 歯抜けのように、車いすのままでも見れる。座席にも移動できる。同伴者も一緒に見れる。これが理想のデザイン。上写真は、大阪箕面109シネマの座席図です。日本で見ることは稀なのが残念です。 この写真は、米国の映画館です(2008年撮影 シアトル)。標準的な設計です。車いす席は設置されていますが、座席にも移って見ることができます。専用席という無粋なことになっていません。デザイン設計の根底が違います。 |