米国留学記(12)
2002/09 - 2003/08
ラッセン火山 ヨセミテ セコイア 家族旅行
家族集合 父母、姉、姉の息子、計4名が、私の元を訪問してくれた。父は会社の慰安旅行でアジアに数回、母は初めての海外、姉はOL旅行と新婚旅行と海外は2回。私以外は、およそ海外とは縁のない家族。だけど活発な父母である。 父母が山登り好きなので、カリフォルニアの自然を中心に一緒に旅行することにした。まずは、私の通うカリフォルニア大学バークレーへ。構内の原生林の通り道に感動してくれた。リスもいるし、マイナスイオンがほとばしっているからだ。
大学は試験期間中なので、とても静かだったが、雰囲気は楽しめる。図書館や、恐竜の化石がみれる自然史校舎、おしゃれなカフェ、大学通りなどを案内。姉の息子は、小さいときの私に似ているので、かわいらしい。
ミュアウッズ そして、サンフランシスコから北へ車で30分。世界屈指の原生林が、都会のすぐそばで見れるところがある。「ミュアウッズ」だ!
特殊な地形で、このあたりだけ谷間になっている。雨が多く湿気がある。ミュアウッズを訪問すると、病気が治ったり、精神が美しくなるのではないかと本気で思う。都会の近くに、こんなオアシスがあることに、家族は驚きと喜びを感じていた。
ミュアウッズを含め、カリフォルニアの公園、国立公園は、とってもユニバーサルデザイン。車イスでも行きやすいように段差がなく、ウッドデッキが敷かれていたりして、私も自由に見れる。
ミュアウッズも、約2キロほどの遊歩道があり、車イス一人でも自然を満喫できる。ただし、山なので全部が見れるということはない。階段がある道も当然に存在する。日本の山や自然公園では、とても車イスが入れて見れるように配慮がされていない。残念だ。
原生林と沢、マイナスイオンの嵐で、独特の木の香りも立ち込め、地球上だが別世界。車イスでも簡単に大自然を体感できるところは世界にもそうはないので、超オススメの場所です。五感が刺激されます。視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚(空気を吸ってください)が超敏感になる。
ラッセン火山 国立公園 シェラネバダ山脈の北に、ラッセン火山というのがある。あまり知名度がない国立公園だが、静かで、雪山もあり、温泉もわいていて、穴場。母が、姉と甥を山を背景に必死に写真撮影していた。そんなに気合入れなくてもいいと思うが。
しかし、春に大雪がふって、訪れたときは、まだ国立公園内の道が開通していなかった。温泉がわいているところ、火山活動の場所が見れなかったのは残念だったが、道外れを歩いたり、雪で遊んだりした。
トレイル(小道)は、やっぱりバリアフリー。コンクリートでスロープになっている。しかし、雪がまだ多く残っていたので、甥っ子に押してもらって進んだりした。
お昼ごはんは、母が途中のガソリンスタンドの売店で、パン、ハム、チーズ、などを勝手に購入してた。こちらが指示することなく、食料や飲料の手配、荷物の準備など、父母は勝手にやってくれる。さすが日頃から山登りをしていて、アウトドアには慣れている。海外初めてなのに関係ないみたい。指示しなくても動いてくれるので、とても楽で、一緒に旅がしやすい。家族だからか。適当に購入したものを広げて、湖畔にて食べた。とっても優雅な時間。
しばらく昼寝。休息。散歩。鳥がよってくる。あたりには人がほとんどいなく、静かで、大自然を一人占め。
ヨセミテ 国立公園 ラッセンから、カジノの町リノを通り、ネヴァダ州の砂漠地帯を抜け、シェラネバダ山脈の裏へ抜けた。そこから、12時間前に開通した(インターネットで情報チェック)ばかりの「タイオガロード」を通って、ヨセミテ国立公園に入る。残雪で開通が間に合うがドキドキだった。
このタイオガロードは、とても素晴らしかった。塩湖や、花畑、乾燥地帯を抜けて、一気に山の裏側から、約2850メートルの峠まで登っていく。途中には、雪解け水が急流となって流れている。ヨセミテ渓谷よりも、ここの方が景色が良かった。
川は、まだ凍っているところがありました。とても不思議な色。川の水は透明度の高い雪解け水。 ヨセミテを遠くに眺めて、湿原で森林浴をして、山を越えた。有名なビューポイントで記念撮影も、あんまり実感はなし。どこにいったか説明するためのものですね。
ヨセミテは、米国で最も人気のある国立公園なので、宿を手配するのが大変。半年前に予約したが、既にホテルは満室だった。よってキャンプ場に宿泊。自然は見るだけでなく、歩く、体験するのがいい。公園には多くのトレイル(小道)があるので散策に。
初夏は、雪が解けて、最も水量が多い。川はごうごうと音をたてて、流れている。皆で、ヴァーナル・トレイルへ。しかし、途中からは車イスで行くのは困難な道になるので、家族に別れを告げてサヨウナラ。この奥には滝の水を浴びながら歩く最高のトレイルとのこと。 家族を見送った後は、キャンプ場に戻って、一人でヨセミテ観光をすることに。ヨセミテ渓谷は、観光ポイントが幾つかあって、サイクリングすることに。 大きなハンドサイクルを車に積んできたのは、このときのため。2日間、ヨセミテ渓谷を隅から隅まで、行けるところを何回も何回も走り回った。気持ちいい! 夕方、父母と一緒に、ヨセミテ無料バス(もちろんバリアフリー)に乗って、ヨセミテ滝へ。3つの滝が重なっていて、高さは約900メートル。壮大でございます。遠くからでも、大きな音と、水しぶきが降りかかってきて、興奮しまくり。 近づくと、もうそこは轟音と水滴。 わけがわからないけど、なんだか楽しい! 母はマイナスイオンだといって、タイタニックの真似をして、水しぶきを浴びていました。この後、奥の道を通って抜けようと思うと、工事中と洪水で道がボロボロ。凸凹坂を周りの人たちに車イスを持ってもらって、なんとか脱出。山道はさすがに車イスにはハード。
ヨセミテ渓谷から、車で1時間。徒歩で急な山道を4時間。ぐるっと周れば、山頂から渓谷を一望できるグレイシャーポイントがある。母はここでも感傷に浸っていた。 景色を眺めていると、隣の米国人親父が、「あの飛び出た岩の上で逆立ちをしたやつがいる」と教えてくれた。母に話すと、「私もそれくらいできるよ」と、入るのが禁止なのに柵を乗り越えて、岩の先に。父や姉や私は呆れ顔。周りの観光客も驚き顔。写真を取れというので取りました。母いわく、先まで行けるそうですが、危ないし違反なのでさすがに叫んで静止しました。下は1000メートルの断崖絶壁です。絶景で山の血が興奮したのでしょう。私に度胸があるのは、母が危険なことをするのをみて、納得した次第。 家族みんな、この絶景に感動。父母は、こんなところに、車イスで行けるようにバリアフリーに道が整備されていることにも感動。日本じゃ有り得ないそうです。米国は道路をズドンと通しすぎるところもあるけど、展望台など、段差がない道をきっちり整備していて、車イスでも見れるように配慮されています。 鳩の岩をバックに記念撮影。後ろの岩山を腕だけで登った車イスの米国人がいるんですよ。友達の友達。滑車を引いて上がるのですが、世の中には変わったことをする人もいるもんです。すごいや。 キングスキャニオン 国立公園 ヨセミテの後は、キングスキャニオンへ。セコイア国立公園と同じ入口。ヨセミテは観光客がウジャウジャいて落ち着かないけど、こちらは静かなので、私はこっちがいい。 やはり、こちらもすごい渓谷。ぐねぐね道で、運転も大変だけど、ずっと絶景が続く。あの下の川まで降りて、上流に上がっていく。奥にはキャンプ場があって、いつか再訪し、ハンドサイクルでダウンヒルをしたい。 途中、ガソリンを給油。あまりガソリンスタンドがないので気をつけないとガス欠になってしまう。旧式の給油機械で、店員は目分量で計って、料金を計算していました。山奥だから料金はとても高い。 セコイア 国立公園 移動時間のことを考慮し、公園内のロッジで宿泊したが、ランプがつかなく最悪。どこの国立公園内も宿泊施設は値段が高いが、設備はイマイチ。段差あるし。無理して公園内に泊まる必要はないと思う。車を走らせて公園外のモーテルの方がリーズナブル。 セコイアは、世界一大きな木で有名。背の高いレッドウッドや、ずどんと王様のようなセコイア。もうスケールでかすぎ。森には、きっちりトレイルが整備されていて、車イスでも問題なく回れます。幸せなり。セコイアの木は高さ100メートルを超えるものも多数。幹の周りも20メートルとか、そのスケールやすごくて、うーんなんといっていいやら。
見上げると、首が痛い。とにかく大きくて、高くて、雄大。公園内の博物館の前の道路では、その大きさを実感するために道路にセコイアを描いてた。100メートルを道路の下に見ると、さすがにビックリ。 木のトンネルもあります。期待していったけど、現地で見たときは、「思ったより小さい」というのが第一印象。本当に。というのも、それまでに多くの巨木に見慣れてきたから。 このトンネルが小さいなと思うこと。これが、セコイアがいかに大きな木であるか、わかっていただける理由かと思います。 岩の上から、記念撮影。駆け足で、シェラネヴァダの国立公園を家族とドライブ。車が故障しなくてよかったです。 私が車イスになって初めての家族旅行だった。そして、おそらく最後でもあるだろう。家族4人での旅は、高校2年生のときの、四国墓参り以来である。小学生、中学生のときは親戚と一緒によく旅行した。姉とは今回も旅行中にケンカもしたけど、家族なので行動パターンは似ていた。父母姉は海外経験がないに等しいのに、こんなにも旅行がしやすいとは思わなかった。ビックリ。 英語が話せなくても、コミニケーションを取ろうとするし、勝手に買物もしてくる。ご飯も、日本食がなくても大丈夫。何でも美味しいと食べていて、心強い。また、どこでも寝てくれる。極めつけは、父も、母も、姉も、甥も、皆がイビキをすること。私も特大なイビキをかくし。これには笑ってしまった。蛙の子は蛙です。 私は、たまたま海外を旅するようになったけど、父は釣り、母は登山、姉は地域活動と、活発である。活動的なのは遺伝なんだと13年ぶりの家族旅行で確認した次第。楽しかったです。 |