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カーニバルへの道(6)

 
2003/2 - 2003/3

泥かけ祭りとパレード / トリニダード・トバゴ


朝4時 カーニバルが始まる!

カーニバルの始まりは、朝4時スタートのジュベだ。泥やペンキをかけ合う人たちが街を練り歩く。集団で音楽を演奏したり、踊ったり、無法地帯になる。ジュマンシグラを途中で抜け出し、ホテルに帰って仮眠をとったら、すぐに朝の4時。真っ暗な中、通りに出ると、いるわいるわ人の群れ。とりあえず、人の流れに沿って歩いていく。 

いったいどこに向かうのだろう? とりあえず街の中心部みたいだが、目的地はない。街を練り歩いたり、騒いでいる連中の跡を追ったり、盛り場をはしごしたり。ペンキマンに、ペンキをつけてもらったり、付け合ったり、夜の街をぶらぶらする。

知らぬ間に、シッカロール(天花粉)も頭にかけられた。なんだか変な気分。左肩にも大きな手形。汚してくれますわ。

その途中、泥んこ軍団が襲撃マスクをしたやつらが、泥をぶっかけてくる。顔や手にべったり泥を塗られた。というか塗ってもらったのかも。ぬるっと気持ちいいというか変な気分。

交差点では、同じ衣装で仮装したグループが叫んでいる。ビールは飲んでいたりするけど、そんな危なくはない。みんなジュベを楽しんでいるだけ。ドラムやスチールパン、トランペットの音が響きわたる。あるいはでっかいスピーカーからソカの音楽。

街の中心、バスターミナルにはスタンドができてあった。カーニバルのときの審査会場の一つである。そこを人が通る。通る。うるさい軍団もここではショータイム。踊って歌って歩いて、楽しい見せ場。泥んこマンに近づくと、かけられるので注意が必要です。

何をしているのかって? トリニダード名物のワインダンス。性器をこすりあって踊りあう。基本形は男が後ろで、女性が前。盛りのついた男なんて、そこらじゅうで腰を振って、若い女性を誘いまくる。半端じゃないっす。車イスの私とも「ワインダンスしようよ」って、セクシーな女性が腰を振ってくれました。いやー楽しい。日本にもこんな祭りがあったら、性犯罪は減るのではないかと考えてしまう。

ゆっくりと夜が明けてきた。スチールパンのトラックも登場。きれいな音色が響きわたる。いよいよトリニダードのカーニバルらしくなってきた。

 

どでかいスピーカーを積んだトラックも、どこらじゅうでノロノロ運転。ワインダンス花盛り。その後ろを踊ったりしながら、若者を中心に、そぞろ歩き。私達もついていきまーす。勢いあまった姉ちゃん達は、電柱にまでワインダンス。ちょっと豪快すぎます。この二人には、私も喜んで襲われました。天使さまです。感謝感激。

これがカーニバルだ! なにがなんだかわからないけど楽しい。酒と音楽、ワインダンス。恍惚はどこまでも続いている。

 

ホテルへの帰り道。偶然、昨年友達になった「イヴァン」と遭遇! 4日前、オールスターズのパンヤードを訪問し、彼が来ていないか探したけど、再会できてなかった。しかし、彼は私が訪問しにきたとパンヤードで聞いており、めでたくジュベの日に会ったわけさ。カーニバルで遊ぶスケジュールも忙しいので、今回は彼と遊べなかったけど、いつかまた遊びたい。

 

こちらは、フェイズⅡのパンヤードで出会ったニューヨーク在住の日本人音楽家。ジュベでホテルを出た瞬間にすれ違ったけど、渡辺さんは違う街へ遠征していてた模様。偶然って恐ろしいね。数時間後に再会するなんて。それも泥んこで。幸せなり。

数時間、歩いていると、さすがに疲れる。もうホテルに帰って寝なきゃ。みんなも帰り道かな。ちょっと疲労の顔がみられる。

と、思ってたら、今からカーニバル本番に出場する軍団達がいる。衣装を決めて、音楽のトラックも準備され、これから始まるのだ。ジュベが終わったと思ったら、本番が開始。みんなタフだわさ。


旅仲間

今回、一緒にカーニバルに参加した友達。ホテルを1週間シェアして一緒に過ごしました。イギリス、ロンドンから参加のアヤコ。ここに来るのが夢だった。パノラマファイナルを見れて感動してました。スチールパンの聖地でイイ顔しています!

ペルー、リマから参加のマサト。大阪時代からの古い友人。このときはスペイン語を勉強中。その後、メキシコで働いています。二人とも、とっても旅慣れていた。だから気楽だった。自分のことは自分で出来る三人だったから。とってもとっても楽しい旅になったのは、一緒に旅した仲間に恵まれたからであろう。ありがとう。


車いす現地人との交流

カーニバルの街は眠らない。朝も、昼も、夜もにぎやかである。メイン会場のあるサバンナ公園の近くでは、ギャンブル花盛り。お祭りには屋台だね!マリファナの怪しい匂いも立ち込めているが心配なし。カーニバルだもん。お祭りで賑やかだもん。大通りの近くを歩いていると、アヤコが車イスの人たちがいると教えてくれた。せっかくの機会、交流することにする。一番右がリーダー格のアンドレ。

みんな陽気なトリニダードの人々。車イスの人も陽気。カーニバルの夜、楽しまなくちゃね。酔っぱらって何を話したかよく覚えてないけど、とにかく楽しかった。彼らは、バスケットボールをしていて、国際大会にも出たことあるって、話してくれた。

トリニダードを旅行していて、障害者差別というのを感じたことがなかった。実際に、障害を持つ人に会って話をして、さらにそのことに確信を持った。彼らは障害があるからといって、引け目や、こだわり、卑屈さを、ほとんど持っていないのだ。とっても、いいこと! やっぱりトリニダードは、障害者差別がとっても少ないところ。

人種差別が少ないところ = 障害者差別も少ない  この法則は成り立つ。

後ろには、手で運転できるように自分でオートマチック車を改造した人がいた。やっぱり自動車がないと、車イスの人間にはつらいもんね。なければ自分でつくる。たくましい。彼らが、地元民が集まる「セント・ジェームス」に行こうと誘ってくれた。若者を中心に、とにかく人が集まって、騒いで、飲んで、つまり盛り場である。一緒に踊ったり、楽しいよん! 

盛り場の中に、ローラースケートをはいて人の間をすり抜けて走り回るラスタヘアーの人がいた。背中には大きなジュート袋。何をしてるかって? 空き瓶を拾い集めているのさ。ビールの空き瓶はリサイクルされるので売ることができるから。よって、ビールを飲んだら、路上にポイ捨て。 すぐに空き瓶拾いマンが登場し、片付けてくれる。貧しい空き瓶拾いマンも、ローラースケートに乗ってファンキーなのは最高だ!

面白い髪型の若者を発見! サザエさんが、トリニダードにいたなんてビックリです。ヤンキーバリバリだけど。


おまけ トリニダードの養護学校  by アヤコ

アンドレに頼みこんで、母校(公立の養護小学校)を見学させてもらいました。 かなりの充実よ。エアコン完備(今年ついたらしいが)のリハビリ棟と、オペレーション棟まで一緒になった複合施設。寮と学校。スロープ&手すり付きプールと バスケットゴールもあります。

校長先生の1番欲しいものは、運動場だそうです。たしかに大きい広場 のようなものはない。「日本の学校と比べてどう?」と聞かれたので「ここの 設備はすばらしいです」と言ったら「すばらしいですって!? 遊び場が足りないし、バスケットコートもクリケット場も欲しいのに!」と言われてしまいました。でも遊び場不足は普通校でも同じこと。

学校は、ほとんど普通の学校(いくつか外から覗いた)と変わらない感じ。教室は狭くて少人数だけど。あと平屋だけど。カリキュラムも変わらないそうな。知的障害校と、ろう学校も含めてトリニダ-ドに6校、トバゴに1校、養護学校があるそうな。3台のスクールバスにはリフトが付いていて、生徒の送り迎えではなく、寮の生徒を、日曜に教会に連れて行くためのものだそう。

生徒は、寮生活者と親の送り迎えの子がいる。約90人。3交代制のスタッフ(看護婦含む)が全部で24人。教員は10人 (障害児教育を納めた人)。 カーニバル後ということで、あまり多くの生徒はいなかったのだけど、障害の程度は、アンドレとそのお友達と同じか、少し悪そうな感じの子が多い。ちなみに、トリニダードは子どもは皆が学校に行くそうです。私立には男子校女子校も多いとのこと。


街をパレード

4日目。街を練り歩く。観光客でも事前に手配すれば、チームに入ることができる。チームは同じ衣装を着て練り歩く。我々はチームには入っていないので、金魚の糞みたいにくっついて歩いたりして、見学っす。

おばちゃまでも派手。いい体しています。足元に注目。長い時間、街を歩きながら踊るので、スニーカーは必需品。

みんなバッチリ衣装を決めている。観光客といえど、ほとんどがリピーター。みんな手配して準備万端です! 白人のお姉ちゃん。今からスタートだけど、長丁場。がんばってね! もう体が弾けている!

チームには、スピーカーを積んだトラックがついてくる。でっかいチームは3台も。そこには移動用トイレ、飲料、食料、ビール、それらが詰まれており、疲れたら休憩もできる。6時間くらい歩きまわるのですから。もう音楽がガンガンで心臓は鳴りっぱなし。

ローカルの悪魔集団。 おーい、踊っているか? 幸せかい? 気持ちがいいぞ!

ライブ演奏をしているトラックもたくさんある。大きな声でシャウト。もう周囲はうるさいので、みんなちゃんと聞いていないけど、リズムを合わせる。

パレードも、4つほどスタンドがある審査会場を通り、順位を競う。仮装している人が、ちょっと順番待ち。重たいのにすごいよね。暑くてのぼせないか心配。

珍しい政治的な仮装。 地元民なのか、観光客なのか、わからなかった。トリニダードのカーニバルは、観光客も混じって参加するとはいえ、地元民が9割以上です。

やっぱりスチールパンもはずせない。 歩きながら、美しい音色を披露。心が和みます。

交差点で、じっくり見学。 インド系の人が多くパレードをしているのが目立つ。インド系のセクシー姉ちゃんなんて、今まで見たことなかったので衝撃的。ところ変われば文化も変わる。本場インドじゃ考えられないビキニ、Tバックの女性達です。

すてきなカップル。いいねえ。格好いい。 二人でセクシーに踊りましょう。

 

日差しが強いので、サンバイザーも便利。 また、水分補給は大切。脱水症状にならないようにね。

お姉さまがた、前をふさいじゃ見えないよー。 どいてくれー! 否、どかなくてもいい。そのままお尻を見せて、、、 くびれのタトゥーが、とってもセクシーでした。

裸が共通なのか。服を着ていたら恥ずかしい雰囲気。 うーん、なんなんだこのパワーは。さあ、行くわよ。出発よ。まだまだ続くわよ。カメラを向けたら、ワインダンスの腰ふりでポーズしてくれました。 とってもフレンドリー。カーニバル最高!


ワインダンス

カーニバルの踊りで最も有名なのは、ワインダンスというセクシーダンス。お互いの性器をこすりあう。男女が基本だけど、男男、女女も、なんでもあり。ただし、性器だけ密着。手で他の部位を触ったりしない。そこらじゅうで、ワインダンス。 若者はギラギラ。カップルはまったり。

猫も杓子もワインダンス。踊りの一種。コミュニケーションの一種。ワインダンスを楽しまなければ、トリニダードのカーニバルは語れない。

カーニバルでは、もちろん、スチールパンのトラックも練り歩く。100人のメンバーに選ばれなかった人や、チームメンバーも気楽に演奏する。

昨日、優勝を決めたばかりの エクソダス のトラック。もう嬉しくてノリノリ。絶好調の演奏。街中を自慢気に、凱旋演奏。

どこもかしこもカーニバル。休まる道はありません。果てしないエネルギーはどこから来るのか? 脱帽です。今回のパノラマコンテストでファンになった、パンナイトのトラックが来た。素晴らしい音に体を任せて、横をついていこう! 旗振り兄ちゃん(応援団)と一緒に記念撮影だ。嬉しいな!

 

トラックにしがみつて歩いていると、「お前も演奏しろ」と、楽器をくれた。カシャカシャ。憧れのパンナイトのトラックで、一緒に演奏です! トリニダードのカーニバル。全員参加が魅力なんです。観光客もローカルも関係なし!

夢のような1週間。苦労して参加した甲斐がありました。


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