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ヨルダン出張&イスラエル(7)

2013/10

ベツレヘム&ヘブロン / パレスチナ


ベツレヘムへ

パレスチナ問題。名前を聞くだけで、思考停止する人も多いだろう。複雑な歴史と宗教。日本人が最も縁遠く感じる場所かもしれない。エルサレム旧市街、パレスチナ門の前に、パレスチナ訪問へ行くバスターミナルがある。アラブバスと呼ばれ、ユダヤ人は利用しない。利用するのはパレスチナ人だけ。

残念ながら、アラブバスは、ノンステップバスとかはない。いわゆる観光バスや、ミニバス、大型バンなどである。ドアに近い席を確保して座る。車いすは貨物室に入れてもらう。

複雑な国境戦の壁沿いをグルグルと回りながらバスは進む。途中に機関銃を備えたイスラエル兵士がバスに乗り込みチェックもある。そうしてベツレヘムに到着。ベツレヘムも小山にある街。坂だらけ。階段だらけ。車いすで歩きまわるのは無理なところ。バスが停まるところだけ平らで商店が並ぶ道路となっていた。他はぐねぐね道ばかり。

バス到着場所では、タクシーの客引きがひどい。秩序はなく。罵り合いながら、客を奪い合う。普通の乗用車で白タクです。そんな一つのタクシーに乗って、目的のホテルへと移動。パレスチナ観光のPRイベントが行われているので見学する。

ホテルまでは車で5分。タクシー料金は20シュケル(600円)で十分な料金なのに、30シュケル(900円)を要求してきた。26シュケルで手を打ったが、支払ったときに汚い言葉で悪態をつかれた。ダメすぎじゃないのパレスチナ人。バス乗り場でも乗務員は不愛想。街の人々も殺伐で無関心、無表情ばかり。猜疑心の塊。優しい人々が多い隣国ヨルダンとは、もともとは同じ民族だったのに、環境によって人間性まで変わるのか?

観光セミナーは、アラビア語なので内容は全くわからず。パレスチナはこれといって産業がないので、観光に望みをかけるのは理解できました。美人なテレビキャスターがいたので、一緒に写真をとってもらいました。


ヘブロン観光

ベツレヘムのホテルでタクシーを手配。4時間借りきって、パレスチナ最大の都市ヘブロンへ観光へ。200シュケル(6000円)。ちょっと高いと思ったけど、パレスチナでお金を落とすのは、彼らに頑張って欲しいから良しとする。

ヘブロン最大の観光地は、マクベラ洞窟。ユダヤ教の聖地でもあり、イスラムの聖地でもある。双方の巡礼者、参拝者が来る。イスラエル軍が厳重に守っている。タクシー運転手の案内で、マクベラ洞窟を目指す。狭い道。土産物屋さんや商店が並ぶ。

最後は鉄格子。ここから先はイスラエル軍が管理する場所。車いすはどうやっても通らない。困った。困った。

裏側に少し広い路地裏があり、そこに扉があった。ここなら車いすでも通れそう。イスラエル軍兵士に交渉をしてくれ、この扉を開けてもらって進む。施錠を解いたり、チェックをしたりと、15分ぐらいかかった。

マクベラ洞窟が上に見えるが、階段のみ。聖地なのでスロープがないのかと探すが、ないと思う。担いでもらってまで中を見たいとは思わないので、見学は諦める。

聖地の前は、ユダヤ人居住区になっている。数家族だけが住んでいるが、20人以上の兵士が常に守っている。こっそり撮影。兵士に声をかけ、写真を撮らしてもらおうとお願いしたら、仕事中だからと断られる。当然ですね。パレスチナ人のタクシー運転手は、決してユダヤ人居住区には近づかない。危ないから。

廃墟になった、市街地。イスラエルの管理するところ。かつてはユダヤ人が住んでいた場所なのかな? パレスチナ人が混ざって生活していたのかな?紛争もあって、今はイスラエル軍の管理地。建物があるのにひっそりとしてゴーストタウン。一方で少し行くと、パレスチナ人が大量に住む市街地がある。

パレスチナ側からアクセスしたので、ちょっと坂道や通路などが大変でした。イスラエル側からだと、自動車でそのままマクベラ洞窟の前に行くことができるでしょうが、イスラエル人のタクシーでなければなりません。ちなみにアラブ人のタクシーはイスラエル領土を運転することはできません。

マクベラ洞窟に行くときにタクシーを止めた駐車場。そこにあった看板。アラファト議長がいました。

ところで、クリスチャンのパレスチナ人タクシー運転手。「キリストを祈れば歩けるようになる」と言われ、私はカチンとくる。一番嫌いなフレーズだから。

祈らないから歩けないというのは、差別につながると思う発言。祈って治るなら、自分の母国パレスチナが占領されているのは、祈りが足りないからであろう。キリストを信仰すれば、頭が賢くなるのか? 背が高くなるのか? 金持ちになれるのか?信仰と障害を一緒にしないで欲しい。めちゃくちゃ腹が立った。タクシーの中で本気で怒った。

タクシー運転手は続けて言う。罪をしても最後はキリストが身代わりに死んでくれて天国に行けると。救われるのだと。都合がいいことだけ宗教に頼る。ダメ人間の特徴である。自己責任をしない。何でも人のせい。神のせい。

人それぞれ色んな考えを持つのは自由であり、他人が何を考え信仰しようが一向に構わないのだが、自分の考えが絶対的に正しいと押し付けてくるのは嫌いである。偏見かもしれないがキリスト教徒に多いと思う。イスラムや仏教には少ないと感じる。

原始社会において、社会規範やルールを広めるために宗教が有効な手段だと理解できるが、現代は違うだろう。心の休息、精神の開放など意味はあると思うが、役割は薄まっていると感じていたら、失礼だろうか。


キリスト生誕教会

パレスチナの最大の見所は、ベツレヘムにあるイエス・キリストが生まれた場所。生誕教会。坂の街を車いすで歩くのは大変なので、ヘブロンからの帰りに、貸切タクシーで立ち寄った。信仰の押しつけについて喧嘩はしたが、その話は終わりにして、観光へ。

生誕教会は長い歴史の間、増床を繰り返しているようです。

重苦しい歴史ある教会。この教会の下に洞窟があり、イエス・キリストが生まれたとされる場所がある。マリア様が馬小屋で産み落としたと記憶していたが、昔は馬小屋で上に教会が建ったのかな?

生誕場所に行くには、長い列を並んで地下へと降りる。警備員が、車いすの私でも担いで見せてくれるという。車いすの私は出口から入る。狭い階段が10以上あるのだが、警備員2名で車いすの前後を持ち、一段一段下ろしてくれた。

長い列を無視して、横入りして、タッチ。すいません信者でもないのに。貴重な体験です。願いこと(世界平和)をしようと思ったら、早くしろと急かされます。混んでいるので、ゆっくり拝むことはできません。帰りも階段を担いでもらい、警備員には寄付という名のお金(5ドル)で謝礼。


国境越え

ベツレヘムのホテルで1泊。
ケニアと南米(ベネズエラ、コロンビア、ペルーなど)の団体巡礼者が宿泊していた。エルサレムのホテルは高いので、安いパレスチナに泊まるというもの。彼らのビュッフェに混じって、無料で私も夕食をいただけることになった。野菜たっぷりで栄養満点。

朝ごはん。親切なホテル職員が、小皿でもってきてくれました。山羊のチーズ。ハムはチキンです。パンはアラブのピタですね。

イスラエルに戻る。バスでなく、歩いて国境を超えることにした。ホテルから、国境(チェック・ポイント)までタクシーに乗った。50シュケル(1500円)。パレスチナのタクシーはイスラエル側に入れないので、壁の前で降ろされる。エントランスの文字に従い、牢獄のような坂道を上がっていく。

通路を上がりきったら、また動物園のような鉄格子と回転扉。横に通れそうな扉もあるので、機関銃を構えた女性兵士に開けてほしいとお願いするが、ダメだという。自動車が通るゲート(距離がありタクシーに乗る)があるから、車いすはそこに回って通れと指示する。

通常の入口を通れないのは、人間扱いされていないみたいで悲しい。坂道を下りて戻るのも面倒。地べたに腰を下ろして、手で這いながら回転扉を通ることにした。車いすも分解して、周りの人達に担いでもらって、回転扉を通り抜けた。まさに根性の通過。

チェックポイントを抜けると、エルサレム市街に行くバス乗り場があった。私はぐるりと道路を回って入ったので、白タクが停まっているのを発見。100シュケル(3000円)で市内へ。市内は意外に近かった。50~100シュケルで行ける。2人以上いるなら、タクシーが便利で早いので有効です。


パレスチナ 個人的な印象

パレスチナは、イスラエルの領土内に塀や壁に囲まれて移住区が設定されている。港や空港がないので、まさに陸の孤島。出入りは常にイスラエル兵士によるチェック。見晴らしのよい丘の上にある綺麗な家やアパートは、全てユダヤの入植地。まるで監視されているかのよう。

国境ゲートには、ライフル、拳銃、防弾チョッキを着た兵士がいる。バスに乗れば、国境は自動通過も、兵士が乗り込んできて乗客を一人一人チェック。もちろん、イスラエル人、パレスチナ人は、乗るバスが違う。バス停も違う。
 
複雑な国境は無視して、高速道路は最短距離を突っ切っていた。側壁が異常に高いなあと思ったら、そこが国境地域。まさにである。常に監視、管理され、裕福と貧乏を明確に区別する壁がそそり立つ。先進国イスラエルの街並みと物価に対し、パレスチナはゴミも散らばり、仕事もなし。せめて港があれば違うだろうに。兵糧攻め。貧困はボディブローのように人々を蝕む。

人々にも、モラル崩壊や殺伐とした雰囲気が漂う。パレスチナでは 何でも、お金、お金、お金。ヨルダン人の9割がパレスチナ人と聞きますが、全然違う性格に感じた。


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