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ロシア サッカーW杯観戦(4)

2018/06

エカテリンブルクでの滞在


友人のアパート

日本対セネガルの試合が行われるエカテリンブルクには、5泊する。泊まるのは、ロシアの車いす友人の家。彼女は地元でバリアフリーコンサルタントとして活躍中だった。収入が増えたのだろう。去年に新しいアパートを買っていた。旦那さんが実家に帰省して、その部屋を使わせてもらうことになった。

ある日の夕食。ロシアのクレープ、ブルヌイ。手作り。ミンチなど中に具も入れて。

水餃子ペルミニ。友人の友人の手作り。サワークリームなどをかけて食べる。

彼女デザインのバスルーム。使いやすいデザイン。このまま私の家にも欲しいくらい。寒いロシア。バスルームにもセントラルヒーティングで温かいので、湯船につかる必要はなし。 

新しいアパートなんですが、不満はドアの敷居。入口も玄関もいずれもドアの枠で段差ができる。日本では枠は床に埋め込まれますけど、ロシアでは残ったまま。それが2-3センチの段差になるので、車いすは前輪をあげて越えなければならない。


ロシアの手動装置

友人の車。ロシア製の手動装置をつけています。両手で操作可能。世界各地でそれぞれ工夫された道具が作られ、使われてますが、ロシアのデザインも面白いです。

運転の映像です。ご覧あれ。

 

二人で外出したときは、2台の車いすは通行人に積み下ろしを頼んだ。冷たいイメージのあったロシア人が、気軽に手伝ってくれることに驚く。彼女も年齢重ねたので、もう自分では車いすは積まず、いつもそうしているのだとか。

マレーシアの車いす友人も、通行人や警備員に積み下ろしを頼んだり、ガソリンスタンド(セルフ)でも、誰かに入れてもらっていた。日本では、車いすの積み下しを見ず知らずの通行人に頼んでいる人は聞いたことがない。私も頼んだことない。セルフのガソリンスタンドでも自分で入れている。

そういえば、エジプトでタクシーを利用したとき、荷物(車いす)は天井に積むのだが、運転手が通行人に「乗客の車いすを降ろしてくれや」と頼んで、降りたことが2度あった。日本じゃ考えられない。人々の気軽な助け合い。 

近くの公園(森林)へ移動。エカテリンブルクの名所、不思議な石。

森林公園にある、大きな湖。ビーチにもなりますが、泳げません。冬は凍るのでスケートを楽しめるでしょう。滑り台がありますが、夏の水泳ではなく、冬のそりですね。多くの地元民が、散歩、サイクリング、ランニング、夏の到来を楽しんでいました。


公園でトレイルオリエンテーリング

ワールドカップの試合がない日。地元トレイルオリエンテーリングクラブの練習会に参加させてもらうことに。市内の公園へ移動。緑が多い街です。

この日は天候が悪く、そして寒かった。10度ぐらい。最高気温も15度ぐらい。翌日は25度と、大陸のど真ん中、ウラル山脈の街。気候の変化は激しい。

地図を片手に、正解のフラッグを探す競技。ロシアの公園を楽しむ。

車いすで、自然の中を歩くだけでも気持ちいい。スポーツは外に出るきっかけにもなる。素晴らしいことですね。10人がトレーニングに参加。全部で12問。私も4年振りに競技をしましたが、2位の好成績でした。10年間、日本のパラリンピッククラスの優勝者、世界選手権の代表でしたから、昔とった杵柄は健在。パラリンピックのクラス。日本ではそもそも競技者が少ない、ほぼ皆無なので、地図と自然が好きな人なら競技をしたら、すぐ代表選手になれます。


エリティン・センター

ロシアの初代大統領ボリス・エリティンは、エカテリンブルクの大学を卒業。その縁もあり、市内の川沿いに、エリティンセンターが作られてました。ソビエト連邦の崩壊からの10年、90年代の人々はとても貧しく、厳しい時代だったということです。当時のことが学べる施設となっています。

展示も興味深いですが、いかんせんロシア語。それにロシア人向き。外国人の私は、このセンターの建築やロケーション(景色)に興味。お洒落なショップやカフェもあるので、散策に良いです。

エリティンセンターの近くは、新興ビジネスエリア。とある政府系ビルに、エキスポ2025の誘致看板を発見。日本の大阪、アゼルバイジャンのバクー、ロシアのエカテリンブルグが立候補しています。私の住む大阪では、あちらこちらに誘致をしよう!の看板を見かけますが、エカテリンブルグでは、誘致していることすら市民が知らないであろうぐらいの広報。開催地は政治的なことで決定することが多いでしょうが、市の広報、盛り上がりとしては大阪に軍配。


欧州とアジアの境目

エカテリンブルクは、欧州とアジアの境目にある街として有名です。その境目で記念撮影するのが定番。夜に試合があるペルーのサポーターも沢山来ていました。ですが、私はあまり興味なし。何をもって境目なのか。。。赤道なら、北半球と南半球で、バケツにできる渦の目が逆になるなど違いが明確なんですけど、ここは単なる人が決めた境界線。

 


フランス対ペルー

エカテリンブルクでは2試合を観戦。1試合目は、フランス対ペルーの試合へ。20時にキックオフ。といっても緯度が高いので夜でも明るい。車いす客は、申請すればスタジアム地下にある駐車場の駐車許可証をもらえるのでアクセスも簡単。

現地の案内センター。車いすの観客でお手伝いが必要な人はこちらで頼むことができます。座席への案内とか、介助の依頼とか、カートでの移動とか。スタジアムのバリアフリーだけでなく、券売、アクセスと腺でのバリアフリーもきとんんと保障されており、素晴らしい運営でした。

エカテリンブルク・アリーナの車いす席。1階席の最後尾が車いす席。数はFIFAの指導のもと、たくさん作られており、ロシアでは画期的な変化。ただし問題はサイトライン。前の人が立つとグラウンドが見えない。。。透明ガラスも必要ない。手すりの位置も高くて視界に入る(立見席ではないので高い手すりは必要ない)。

せっかく200近い車いす席を作ったのに、残念なデザイン。運営も悪く、スタッフや関係のない立見客も乱入。肝心の車いす客を邪魔して見えない。まあ日本も同じようなもので、車いす席を作り始めたとき、後から作ったときなど、見えにくい座席はたくさんあります。

車いすトイレも作られてましたが、関係のない人もたくさん利用。ゴミ箱が汚かったです。マナーの問題ですけど、南米のサポーターも多かったので、ここが車いす優先トイレとは知らず、勝手に使い、汚していく人もいました。


公園でファンフェスタ

試合のない日。市内南東部にある巨大な公園がファンフェスタの会場へ。市内中心部から無料シャトルバスが走っているが、我々は自家用車で訪問。警備員に頼んで、車いすというので関係者用の駐車場に停めさせてもらう。ロシア人も意外に融通が利く。

他の都市で開催される試合をパブリックビューイング。ようやく夏日の青空が到来し、ワールドカップに興味のない市民も公園で憩う。散歩道、売店、遊園地、サイクリングロード、何でもござれ。ワールドカップの試合がなくても、このファンフェスタで雰囲気は楽しめる。入場は無料。チケットも無し。誰でも入れる。ただしセキュリティは厳しく、テロや犯罪などは起きないようにキッチリコントロールされていた。

車いすなので、最前列にいって観戦。舞台にはMCもいて会場を盛り上げる。

夜8時ぐらい。白夜の夏の公園は最高。子どもたちのはしゃぐ声、いちゃいちゃするカップル、のんびり過ごす高齢者、笑顔の来園者に、こちらも幸せをいただく。


日本戦

試合前は、街のメインストリートを散歩。日本、セネガルのサポーター、南米からのサポーター、地元の人。日曜日というのもあって、通りは賑やか。日本もセネガルも初戦に勝利しているので、試合も盛り上がる。多くの人が両チームに好意的なので、嬉しい。

日本のテレビ局が、地元民にインタビュー。

日本戦は、公共交通を利用してスタジアムへと行ってみる。市内中心部から、車いすや移動障害のある人のために、リフト付きタクシーのシャトルバスサービスがありました。

スタジアムに到着。パーキングから、スタジアムへはセキュリティの関係もあり、結構な距離です。でも会場の外は賑やかで楽しい。地元エカテリンブルクの車いすの人もたくさん試合を見にきていました。

正直なところ、日本代表はコロンビアにボロ負けすると思っていて、この2戦目セネガルは消化試合になるかもしれないとの不安があった。でも、予想を超えた日本代表の活躍。セネガル戦の奮闘はご存知の通り。ハチマキを配るサポーターが多くいて、ロシア人もすっかり日本びいきに。

会場のバリアフリー。問題点をFIFA関係者にも現地でフィードバックしていた。ケーブルの線が段差になっていて、車いすで通りづらいと伝えたら、その解消をしてくれたのか、きちんと案内してくれるようになったのか、段差のないルートもありました。意見を聞いてくれる。反映してくれるのは嬉しいですね。

日本の試合は、メインスタンドで。やっぱりこちらもガラスと手すりが邪魔で、サイトラインが確保されていない。前の人が立つとグランドが見えない。ちょうど前は日本人やロシア人だったので、事情を説明して、試合中は座ってもらいました。

前半終了前。キャプテン翼ばりの、オフサイドトラップをかける直前ですね。

2-2で試合終了。スタジアムで有名人や知り合いと会うかなと思ったら、結局のところ、誰とも遭遇せず。座席から、上のVIP席におられた高円宮妃久子殿下を謁見したのみ。しかし、スタジアム出た時にを声をかけられた。振り向くと同じマンションの2階に住むご近所さん。サッカー好きとは知らなかった。なんでも息子さんが代表選手の兄弟と仲良しなんだとか。世界は狭い。 

試合の興奮が冷めやらないまま、スタジアムから市内へ歩いて移動。4点も入った同点の試合。両チームとも次の試合に決勝トーナメント進出の可能性が充分残る、双方にとって悪い結果でなし。よって試合後の雰囲気は良かった。機嫌の悪い人はいない。幸せな雰囲気。皆で市内まで1キロちょっと歩く。

街のメインストリートに戻ってきた。深夜12時というのに賑やかだった。貧乏な若者達が、路上で無料のディスコパーティ。平和な夜。ロシアの友人ものりのりになって、車いすで踊る。ビデオご覧あれ。

 


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