オリエンテーリング世界選手権(1)
2004/09
大会出場 / スウェーデン
トレイルOは、単純に自然を楽しむ一つのきっかけになるので面白い。車イスの人、障害を持つ人が、失ってしまいがちな自然を感じることを提供してくれるもの。そして競技においては、障害に関係なく競い合うことができるのが最大の特徴である。他の障害者スポーツでは、障害の程度によって平等な競争ができなくなっているが、トレイルOは、タイムを競うのではなく、正解数を競い合うので、障害の程度は関係ない。 日本代表とはいえ、マイナースポーツ。世界選手権も当然のように全て自費での参加。正直まだ航空券が高い時期。北欧での滞在費も決して安いわけではない。スウェーデンでの滞在は、競技に集中する3泊のみで、その後はドイツ旅行を計画した。 10年ぶりに訪れた北欧は、バリアフリーが想像以上に進んでいて驚いた。デザインセンスに優れ、機能的な面だけを追及しない姿勢が印象的だった。駅のエレベーターは、側面にのみボタンがあり、それが実に押しやすい形になっている。 冬が寒いスウェーデン。ダウンタウンの中心は、雪国らしく、ビルとビルが空中経路でつながっている。これなら駐車場から、コートなしに買い物を楽しめますね。 日本チームが宿泊するホテルに無事到着。夜行の飛行機の疲れを癒す間もなく、これから前日の特訓に行きます。北欧の地形になれるために、現地の地図と照らし合わせて、歩くのです。 欧州では、森は公共の財産となっています。日本では私有地。住宅地のすぐ裏に森が広がり、散歩や自転車にピッタリ。冬はもちろんクロスカントリースキー。自然があって、とってもいいところです。 本戦1日目 前日にモデルイベント(練習日)があり、そこで国際基準を確認。記念すべき第1回トレイルオリエンテーリング世界選手権の参加者は、15カ国から43名。障害を持つ人は、10カ国から20名。混ぜこぜで競い合うのと、パラリンピッククラスと同時に行う。 会場は、でっかい広場。サッカーなど思う存分楽しめる天然芝。奥には広大な森が広がっている。通常のオリエンテーリングの世界選手権も一部開催されている会場で、賑やかであった。 地元スウェーデンチームの応援団。近所の高校生でしょうか? 衣装をバッチリきめて、太鼓を鳴らして、会場を歩きます。 通常のオリエンテーリング世界選手権と一緒に、開会式が行われました。国旗をもった子ども達の入場や、役員の馬車入場など、ささやかながら家庭的な演出。 今回のトレイルオリエンテーリング日本選手団です。パラリンピッククラスは、私と2名。他3名の選手、役員とチームオフィシャル4名を加えた総勢9名です。2005年に愛知県でオリエンテーリング世界選手権が開かれるので(欧州以外での開催は初めて)、運営方法の勉強や、委員会とのつながりもかねているので、大所帯となりました。 さて、競技が開始されました。上記写真は、リトアニアの選手。歩行が可能ですが、長い移動は車イスを使用します。起伏が激しく、地面もぬかるんでいるので、ボランティアの介助者が1名ついてくれます。 スタート地点へ向かうフランスチームの選手。競技になると、体力を消耗するより、頭に集中したほうがいいので、介助してもらいます。 初日の成績です。20問中、8問の正解。20人中、15位の成績でした。パラリンピッククラスでは、この成績だけで優勝者が決定します(一般は2日間の総合成績)。日本とは高度な問題に、頭をやられっぱなしだった。時間を使いすぎ、最後は足りなくなってあわてて問題を解いてしまい、悪い成績になってしまった。さすが世界選手権。レベルは高い。 夜は、街の広場でセレモニー。初代トレイルオリエンテーリング・パラリンピッククラスの表彰式も行われました。全員が立位を取れる人でした。視線が車イスより上になるから、少し有利なのかも? 1位が、ノルウェーの選手。 ダントツの18問正解 +23秒(正解のタイムを競う旗の数字) きれいに国が分かれました。 本戦2日目 9月とはいえ、風が吹くと寒い。完全防寒して出陣。1日目の失敗をしないように、復習をしっかりして、挑んだら、いい成績が取れた。なんと、18問中 15問の正解。 20人の中で3番目。しかし、この日は個人成績でなく、点数は団体で評価される。うーん残念。これが1日目なら銅メダルだが、欲張りすぎだ。あまりにも実力不足。まだまだこれから。 パラリンピッククラス、団体優勝 英国チームの表彰式。中央には、友人のカレン。前日の個人成績では、メダルを一つも取れなかった優勝候補の英国チームは団体戦で面目躍如。 1位 英国、 2位 ノルウェー、 3位 リトアニア の結果でした。 こちらは、一般クラスの表彰式。地元スウェーデンが表彰台を独占しました。流石オリエンテーリングの国です。トレイルオリエンテーリングも全国で大会が開かれ、競技者もたくさんいる。歴史も層も違います。 強豪のスカンジナビアの選手に混じって、日本から、山口選手が、総合6位で入賞。 画期的なこと。さすが日本のエースです。正解数32問と、私の23問とは、歴然の差。はやく、私もパラリンピッククラス関係なく、競い合うぐらい技術向上したいもんです。 競技が終了すると、一般の人も楽しむためコースは開放。同時に、かけまわる通常のオリエンテーリングもコースが開放され、一般市民も参加する。 ロシアのエレナ選手と記念撮影をする軽森選手。大会にきた目的である。いろんな国の人と知り合うことを積極的に実践。人気者となってました。 フランスの選手。かわいいですね。 フィンランドチームと談笑。2006年は、フィンランドで世界選手権が開かれるので、再会を誓います。その前に、2005年に日本に来て欲しいけど、どうかな? スウェーデンのチームオフィシャルの電動車イスの人。初めての世界大会をうまくコーディネートしてくれました。そして、私がトレイルOをするきっかけとなったカレン。久しぶりの再会です。 競技も終わって、さあお帰り。電動車イスをスロープを使って、ボルボに収納です。結構アナログですが、基本ですね。秋を通り過ぎ、冬の気配ただようスウェーデンの森。最高でした。また、こんな機会でもないと訪問することのない地方都市。面白かったです。 |