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友を訪ねて三千里
(5)

2000/12 - 2001/01

山あり、海あり、踊りあり / イエメン


ホデイダ

標高2200mの首都サヌアから、乗合タクシーで約5時間。3760mの山を越えて、ステップ気候から、高山気候、そして砂漠気候、枯れ川(ワジ)、遊牧、花々、様々な景色を楽しみながら、紅海に面する港町ホデイダに着いた。ちょうど、ラマダン(断食月)明けの休日だったので、多くの人が休日を海岸線で遊んでいた。

上の写真は、母親が子ども達が海岸で遊ぶ様を見守る姿です。イエメンの女性は、上から下まで黒装束で目しか開いてません。外見は、厳しそうに見えますが、そこは母親。我が子がかわいいのは万国共通です。

ホデイダは、港町であるせいか、他のイエメンの都市に比べて、自由闊達な雰囲気がします。アラブ人だけでなく、黒人もたくさんいるからかもしれません。サナーみたいに、ほとんどの人がジャンビーア(三日月刀)を刺して歩いているということはありません。女性も、黒人系ムスリムの人は、アフリカの色彩豊かな衣装にスカーフをして歩いてます。陽気なところでした。

この写真の左側の男性のお腹に巻いているのが、ジャンビーア(三日月刀)です。男性のシンボルとして、イエメンファッション界では最も重要な地位を占めます。


ぼったくりタクシー

イエメン人は現代人が忘れている親切さを持っていて、車イス一人での移動にも苦労がなかった。しかし、一つだけ、めちゃくちゃ腹が立ったことがあった。

ホデイダから、タイーズという山にある北イエメン第2の都市に着いたときのこと。乗合タクシーの到着場は坂の下に位置しており、眼前には大きな坂があった。歩いてホテルを探すのは、坂道ばかりだろうで大変なので、タクシーの呼び込みに誘われるままピックアップトラック(ランドクルーザー)のタクシーに乗った。

そこで、運転手に伝えた。「約2000YER(1500円)ぐらいのホテルを紹介してくれ、安くて車イスでも泊まれるホテルだ」
アラビア語の数字を紙に書き、何度も確認した。タクシーの料金については、どのくらい乗るのかわからないので、着いてから払おうと思っていた。相場は市内100YER(75円)ぐらいだろうが、ホテルも紹介してくれるので、200YER(150円)払うつもりでいた。

現地通貨のイエメンリアルを切らしていたので、途中、両替のため銀行に寄ってもらうが、ラマダン明け休みのため、どこも休業。街を一周しながら坂の上にあるホテルに連れて行かれる。そこは景色もよく最高だが、ホテルの前が急な坂だった。また、値段が5000YER(約4000円)とおそらく街で最も高級なホテル(現在、近くに超高級ホテル建設中)だったのでパス。結局、15分くらいで、宿泊することになったホテルに着いた。

すると、2000YER(1500円)だ。 とタクシー代を請求してきた。私は、それはホテルの値段で、それぐらいの値段のホテルへ連れていけとアラビア語で伝えたのに、それをタクシー代だというなんて、呆然としてしまった。

私は、200YER(150円)を払うつもりだった(これでも多い)が、300YERで折れることにした。しかし、運転手は、1000YER(750円)よこせと、ぶち切れだ。ピックアップトラックはガソリン代が高いんだ。普通のタクシーとは違うんだと主張。そんなもん知るか。

今朝、4時間かけて300Kmの道のりを乗合タクシーで来たが、その値段は800YER(600円)だった。なんで、たかが1kmの道のりで、それより高い値段を請求するのだ?私もキレたので、ツーリストポリスを呼んで来いと言った。あまりにも法外な値段と不親切さなので、絶対にこちらに分がある。彼を不誠実な運転手として捕まえてもらわないといけない。

それでも、運転手は譲らない。もう、料金を払う気もなくなった。無視してお金を払わないでホテルの部屋に移動しようと思った。運転手も、金はいらないから、私を乗ったところまで返すとプライドを出してきた。

が、ここでホテルの人達が仲裁に入った。こちらも意地を通して、元いた場所に戻るのもアホらしいので、500YER(400円)で妥結。不誠実な運転手に金を払うのは、納得はいかないが、しょうがない。

教訓: タイーズでは、ピックアップトラックのタクシーには乗らぬこと。

ところで、私がピックアップトラックタクシーに乗った地点から、宿泊したところのホテルまでは坂を上がってわずか300mの距離だった。翌日、古都ジブラに向かう別の乗合タクシー乗り場に行くため、市内を流すタクシーに乗ったが、距離は3kmはあったかというのに、値段は50YER(40円)だった。トホホ。


コンサート

ぼったくりタクシーには遭遇したが、それ以外は楽しい滞在になった。タイーズの街を歩いていると、なにやら賑やかな音楽が流れている。その音源を覗きに行ってみると、銃を構えた(そこいらで銃を持っています)門番がいた。何やら奥でコンサートが開かれているらしい。入場料 200YER(150円)を払って、入ってみる。ラマダン明けを祝うコンサートへ進入だ。

中は、人で溢れていた。みんな黒いベールだけど女の人も旦那さんと一緒に大勢が来ている。それでも、中心は、10代後半の若者から、20代前半の若者。ノリノリで踊りまくる人達がいる。踊りは万国共通だ。

ステップは、アラビアンダンス。小刻みに踏みながら一列になったり、輪になったり、単独で踊るより、ペアか集団で踊る。カート(紙タバコ)で興奮しているようだ。

これら若者を含め、観客の格好はアメリカンスタイルだった。髪の毛をリーゼントにして決めたり、サングラスをかけ格好つけてたりしている。ジャンビーア(三日月刀)はここではいない。音楽は、シンセサイザーがうるさいテクノの、典型的なアラビア現代音楽だった。お金持ちのボンボンの息子達が集まっている感じでありました。茶髪もいました。

楽しいコンサートに出会えて幸せだ。今年は、お正月を日本で過ごさなかったけど、このタイーズで、お正月気分に浸った。


ジブラ

続いて、イエメンの古都、ジブラに行った。しかし、ジブラは山岳都市なので、車イスで街中を散策するのは無理だった。周りを散歩して眺めるだけで終わりました。ただ、のんびりした田舎の風景と人々で、しばし中世にタイムスリップした気分になれました。

イエメンに来てから、ずっと気になったことがありました。街が汚いのです。街中に不燃ゴミが溢れているんです。プラスチック、ポリ袋、空き缶、ペットボトル、現代文明がもたらしたものばかり。イエメンでは、ゴミを収集するという習慣がないのかもしれない。有機物だと、街中に放っても、山羊やヒツジが食べてくれます。自然に帰ってくれます。

ゴミの量と、近代化は密接に結びついているなと感じた瞬間でした。ゴミの収集など社会資本が整う前に、近代化の並が押し寄せ、対応しきれない分は野ざらしにされる。世界の環境破壊は恐ろしい。

ジブラの川(写真)もひどかったです。川岸に、めちゃくちゃゴミが放ったらかしにされてます。モノを消費するだけして事後の処理はしない。そのモノを売りつけるのは私達、先進国なんだよなー。


イッブ

イッブという街では、マーケットを楽しんだ。サラダの屋台が、ドレッシングがスパイシーでうまかった。焼きハンバーグや、ナッツなど、ほおばりながら散策しました。

イエメン人は、山岳民族だと思う。ここイッブでも、家が山の斜面にこれでもかというくらいにへばりついて建っている。そのどれもが、イエメン建築を守っているのも感動です。また、街を一歩でると、山には段々畑が広がり、人の力に驚かされる。


セルビスタクシーでの移動

セルビスタクシー(乗合タクシー)での移動は、旅路を盛り上げてくれる。時間どおりに出発するエアコンが効いたバスより、狭い車内にお尻を寄せ合って座る方が楽しい。

イッブから、サヌアに帰るときなんて、途中でお客を何人か拾っていった。乗客8人定員のところ、最高で10人が座った。ぎゅうぎゅうになるけど、みんな笑顔でそれを楽しむ。セルビスタクシーは都市間移動しかないので、田舎の路上で途中下車や途中乗車が行われるのだ。

一人でセルビスタクシーに乗っている、たくましい子ども達です。

これを食えば、歩けるようになるとひたすら主張して、いっぱいカート(覚醒作用のある葉)をくれたおっさんです。おかげで、この後に自分で気づかないうちにハイになり、大変でした。 


イエメン写真館。 現地で知り合った小林さん撮影。


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