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ラグビーW杯 2011 観戦旅行(1)

2011/09

ワイカト (サモア×ウェールズ) / ニュージーランド


事前手配

ラグビーをしていた者にとって、オールブラックス(NZ代表)の試合を見ることは夢である。高校3年生のときに、練習中の事故で脊髄を損傷し車いすになったが、それはそれ。観戦は続けている。

2011年ラグビーW杯の開催地はNZ。カーワン監督のもと日本代表も歴代最強。世界ランクも最高をキープ。2008年にNZを訪問し、とても良い印象を持ったので、何度でも行きたい。前回は南島を一周したが、次は北島を旅行したい。高校ラグビー部の仲間を誘って、旅行を計画した。

さて、車いす席での観戦となるためチケット手配がかなり大変。旅行代理店やダフ屋からも買えない。いまやどこのスタジアムにも車いす席は作られるようになったが、簡単には座席を手配できない。電話で別問い合わせする必要がある。日本国内でもうっとおしいのに海外なら尚更。さらに外国語で大変。それに現地の銀行口座や小切手、住所、IDなど必要なことも多く、面倒なことも多い。

2007年のフランス大会は、パリに住む友人にチケット手配をお願いしたが、結局入手できなかった。公式サイトに「車いすの観戦希望者は電話してください」としか書いてなかった。。。

でも、バリアフリーが格段と進んでいる国であるNZは違った。公式サイトに最初から車いす席の詳しい記述あり。それも重箱の隅のような場所でなく、すぐにわかる場所に。試合の始まる8ヶ月前の1月に申し込み、2月にチケットが日本の自宅に届いた。最高です!

9月のシルバーウィークを利用した、ラグビーW杯3試合観戦。我ながらいい試合を選択したと思う。友人夫妻とその1歳娘と一緒にレンタカーして、1週間でNZ北島を半周する。私の家族も一緒に行きたかったが、銀行で働く妻は決算期のため休めないのでNG。


ワイトモ洞窟

早朝6時に飛行機はオークランド空港へ到着。ハミルトンでの試合(ウェールズ×サモア)は15時30分の開始。土ホタルで有名なワイトモ洞窟へ。空港から3時間ほど。天候はあいにくの雨。

ワイトモ洞窟は階段が多くて車いすNGなため、私は居残り。友人家族は洞窟ツアーを堪能。もう一つのルアキリ洞窟はバリアフリーで車いすOKだったが、時間がないのでパスした。 


いざ、観戦へ!

事前にモーテルを予約していた。試合が行われるハミルトンから南へ30分ほどの国道沿いの町。大人3人+赤ちゃんなので、ファミリールームに宿泊する。2部屋を借りるより安いこと、キッチンがあるのが理由。ホテルに荷物を置いて、友人の妻子は残して(夜行の飛行機で来たので無理はしない)、男二人で試合へ! 

W杯公式サイトでは各会場へのアクセス。移動不自由者(=障害者ではない)へも言及がされていた。いわゆる専用駐車スペースの場所がどこにあるか書かれていた。私は外国人なので、NZの駐車許可書はもちろん持っていないが、お手製のステッカー(車いすマークに外国人旅行者と記述)を持参した。

その専用駐車スペースを探すのはちょっと苦労した。スタジアム周辺では交通規制や通行止めが多いからだ。ようやく専用スペースへ入る道のところまで来た。どうやって交渉して中に入れてもらおうかと構えていると、誰もいない。素通り。チェック無し。警官も警備員もいない。スタンドのすぐ裏まで入れた。住宅街の前の路上が専用駐車スペースになっていた。

 

私もそのスペースに駐車(右上のトヨタ車)。他の車はNZの車いすマーク駐車許可証を掲げている。誰でも入れるが、不正な自動車はなかった。

日本だと、事前に申請し、許可書が発行郵送され、現地で念入りにチェックだろう。NZは簡単。勝手に行って停めるだけ。拍子抜け。楽チン。快適。世界的イベントなのに、この緩さ、大らかさ。それで何の問題もないのが素晴らしい。モラルが高い!

車から降りて30秒のところ、敷地に入った芝生で記念撮影。スタンドは目の前。一般車は遠くへ駐車、あるいは駐車場からバスに乗って移動だが、車いす利用者は近くに停めれるとは感謝。

スタジアムの横には地元チームのクラブハウス。ウェールズからのサポーターが、ビールを飲んで歓談している。いい雰囲気。

試合開始。メインスタンドの1階席、最後列が車いす席だった。車いす席も満席だった。NZにはサモアの人が多く住んでいるので、熱い応援がされるものの、ウェールズが僅差で勝利。選手の体の大きさ。フィールド全体を使うプレーの幅広さに驚きました。


フカ滝

2日目はタウポ湖へ移動。ホテルは予約していないので、気まま旅。タウポの手前にあるフカ滝に立ち寄った。少し岩で危ない道もあるが、段差ないので車いすでも見学可能。滝というより、清流。激流。


ロトルア

2日目はロトルアで宿泊することにした。NZはどこもワールドカップ一色。大歓迎。ロトルアでも試合が2つ開催されるが、試合のない日は人は少ない。モーテルも選び放題。ここでもファミリールームを使った。ベッドルーム2つ、大きなリビング、温泉付き。これで1万円なんだから満足度は高い。W杯なのでちょっと高い料金設定なのにね。

 

ロトルアの湖では、ブラックスワン(黒白鳥)が泳いでいました。冬で寒いので、湖でのアクティビティをする観光客は無し。やはり夏ですね。観光は。


自然との触れ合い

3日目は北へと移動する。4日目のノースランド、ファンガレイでの日本戦があるから。道中、ロトルア郊外にあるパラダイスバレーという、野生動物公園に行った。31NZドル(2000円)と高いと最初は感じたが、なんのなんの楽しめた。割引券などあると更に得。

園内は完全バリアフリー。木道が整備され、車いす、ベビーカーにも快適、安全。それも配慮していることすら感じない。自然である。

マスがたくさん泳いでいました。飼育しているそうです。きれいな湧水が出るそうな。

羊やカンガルーなど、動物たちとも触れ合えます。子どもには最適の場所。ライオンもいましたが、ライオンとは触れ合えません(笑)。

園内のトイレ。一つが大きなゆったりトイレで車いす対応でした。自然なバリアフリーで、とってつけた福祉とかでなく、本当に素晴らしいNZです。


黒く染まる国

3日目のランチは、海に面したタウランガで、フィッシュ&チップス。

そして海岸を散策してカフェでコーヒー。友人の赤ちゃんも着替え。海風がとても気持ちいい。公衆トイレはかならず車いす対応の広いトイレがあるので、私も安心。

現地はラグビーW杯一色。国中が黒く染まっていた。想像を越えた盛り上がり。観戦道路沿いの家の多くが、黒地に白のシダの葉がある、オールブラックスの旗を建てていた。田舎の農家などでは、タイヤを斜面に GO BLACKS! と置いていたりする。町を歩く人も黒い服を意識的に着用しており、国を黒く染めて応援しようという盛り上がりが凄い!

テレビも新聞もラグビーばっかり。試合の再放送や、分析、予想、解説も多数。日本では、ほとんど何も報道されないし、試合も地上波で全然やらなかったりしているのに、全く違う。

タウランガの街中で見つけた。ラグビーを放映しないテレビ局の看板「HEY LOOK. NO RUGBY」。特に男性へのメッセージでもあるのだろうが、ラグビーばかりでなく私たちも見てね!というもの。日本だと、ラグビーを見てね!応援してね!になるのだろうが、ラグビー熱の違いが明らかです。


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