米国留学記(8)
2002/09 - 2003/08
スキー合宿
北米隋一のスキーリゾートへ 2年前に訪問した、コロラド州 ウィンターパーク NSCD(全米障害者スポーツセンター)を、当地のボランテイィア運営の調査と、モノスキー(座ってすべる一本板)を取得するために再訪した。 2週間の滞在中、アダプティブ・アドベンチャーという冒険グループが主催する、4日間のスキー合宿があるので、ぜひ参加しなさいと、半ば強制的に、当地で働く、まうさんからの助言。参加費も安く(実質、ホテル代のみ)、超高級リゾートスキー場「ヴェイル」を体験できるので決断した。しかし、中級者以上が対象なため、モノスキー初心者の私は、合宿までの5日間、猛特訓で練習した。
当日の朝。参加者が全員集まってのミーティングです。最年少は、9歳。最年長は、65歳。下手くそな日本人まで、参加者は、色とりどり。主に、足の切断したスキーヤー(スリートラック)と、モノスキーが主体のキャンプ。
この団体を取り仕切る、ジョーとマットも、それぞれアダプティッブ・スキーヤーである。米国では、最近、障害のあるスキーヤーのことを、「適応する」という意味のアダプティブを使う。
私は、なんとか合宿まで、なんとかモノスキーを滑れるようになった。夢だったウィンターパークにある、富士山と同じ高さの頂上からも、一度もこけることなく滑れた。しかし、リフトに乗るのに手助けが必要だったり、不安だらけなのも確かだった。 初日。ヴェイル・スキー場にある、モノスキーを借りて、滑った。それまで5日間滑ってきたモノスキーとは種類が違う。高さがある。バランスがとりにくい上級者向き。山の頂上に上って、最初のゲレンデ。恐怖心が走る。すぐこけてしまった。そして、そのすぐ3分後。 ボキッ! アウトリガー(手に持つ小さいスキー板がついたもの)が、こけたときに根元から折れてしまった。ボランティアしてくれた、ボブは、何年も滑っているけど、こんな折れ方は初めてだという。 アウトリガーがなくては、滑れない。ボブが、プロのスキーテクニックで、私のモノスキーを後ろから支え、斜面を滑っていく。この技術は、そう簡単ではない。ヴェイルの斜面はかなり難度が高い。コブも多い。休憩しながら、1時間くらいかけて麓へ。ヴェイルは4つのスキー-場が一つになっており巨大です。 気を取り直して、食事をして、昼から滑リなおす。今度は、ちょっとコースを変えたところ。とはいえ、中級者コース。初めて使用するモノスキーなので、初心者の私にはつらいが、簡単なコースはヴェイルにはない。とても怖かった。何回もこけた。そして、ようやく麓に近づいたところで、また、ボキッ! 午前と同じように、また折ってしまった。一日に2本壊すとは前代未聞。ヴェイル・スキー場のアダプティッブスキープログラムのルースさん、本当にごめんなさい。結局、初日は、トータル20分ぐらいのもの。まともに1本も滑らないまま1日が終わった。 2日目。モノスキーの種類を変えてもらうことにした。今度は乗りやすい。うまく滑れそうだ。ゲレンデも、簡単なコースを指定して、まずは自信を取り戻すことから。一度ついた恐怖心は、なかなか消えない。中級者コースはビビリまくり。なんとか、滑れるようになった。しかし、正午前、またもや、ボキッ! 3本目。 破壊者です。ギネスブック登録です。スイマセン。スキー合宿に参加するまでウィンターパークでは、素晴らしくモノスキーをマスターしていたのに。。。 周りの参加者は、長年滑っているけど、このように折れることは見たことないという。おかしいと。私の滑り方、こけ方が悪いのでしょうか。とにかく3本も壊すとは情けない。一つの理由は、この割れた部分がプラスチックであること。とても寒いので(マイナス20度とか)、割れやすくなったのではないかと、部品が未成熟との指摘も。
3日目。もうアウトリガーは、壊さないぞ! と慎重に滑る。素晴らしい指導もあってか、こけずに滑れるようになってきた。しかし、ヴェイルは難しい斜面が多い。なんとか、初日に取れなかった、ビデオ撮影もできた。2回ほど、こけてしまったけど。午後には、皆で集まって、レースに参加。タイムを競います。その前に集合して写真をパチリ! 私は、レースでポールに激突。とても厳しい合宿となりました。根性で乗り切ったけど、単に技術が足りない。
しかし、みんな、上手なんですよね。元パラリンピック米国代表の人もいたりして。勉強になります。はい。私も、自分のモノスキーを購入して、ガンガン滑れるようになりたいなあ。
コロラドの雪は、ふかふか。もろ、パウダーのところもたくさんあります。アウトリガーを使ってすべると雪がかかる。かかる。ふりかかる白い雪の中を滑るのは最高です。
ところで、このキャンプは、とてもよ運営されていました。初日の夜は、ピザパーティで、ビデオを見て皆で指摘しあい。3日目の夜も、パーティで、こちらも撮影したビデオを見たり、お互いが懇親したり。懇親といえば、初日の夜。ジャグジーで皆がビールを飲んでいた。ぐてんぐてん。私も飲んで、そのまま外のプールへ。マイナス30度です。泳いできました。プールは温かったけど。
参加者が、全員集合しての写真です。色んなところからの参加者がいて大成功の合宿だったようです。このページの写真の多くは、アダプティブ・アドベンチャーから頂きました。
安いし、皆と滑って楽しいし、技術も上達するし、スキー場は最高だし、また参加したいです。ヴェイルでは、今回が初めての合宿で、それが成功したので、毎年やるとのこと。さあ、どうやって来年、その後も、参加したらいいのかな? 米国は遠いし、悩ましい。 クロスカントリーに挑戦 2日目の午後、クロスカントリーのいプログラムもあったので、挑戦することにした。車で5分。夏はゴルフ場になるところを、利用して、クロスカントリーのコースがあります。ロッジは、スキー板にワックスをかけていて、その臭いがプーン。アルペンスキーだけでなく、こちらにも多くの人が楽しみにきてました。高校生のクラブチームもね。
さて、挑戦すると、しんどいこと。しんどいこと。腕の三頭筋がパンパンになります。それ以上に座位姿勢がしんどくて、腰に激痛が。これまで1週間、休みなくスキーを滑ってきて、肉体はボロボロだったせいもあります。特に腰。
30分ほどで、もうダウン。しんどいです。とりあえず、スイスイと滑って、記念撮影だけね。
他に何人か滑ってましたが、最後まで平気な顔して、ガンガン滑ってたのが上の二人。聞くと、二人は、それぞれ昨年度のハンドサイクルの全米チャンピオン。そりゃ、すごいはずだ。肉体が違う。ビックリしました。参った。常軌を超えた肉体を持ってはります。そんな人と一緒にしたらアカンわ。ちなみに、クロスカントリーは、最もハードなアダプテッィブ・スポーツだと思います。 アダプティッブ・アドベンチャー とっても素晴らしい団体。感動しました。障害関係なく、スポーツを楽しむ。レクリエーションすることを実践している人達が、米国には多くいて、その喜びを分け与え、一緒に共有していることを、日本の皆さんにも知ってもらいたいです。 とかく、障害者スポーツは、パラリンピックや、メダルや、リハビリの象徴や、その結果だけに注目されていますが、単純にスポーツを楽しむってことが少ないと思います。そもそも、スポーツ文化が、障害関係なく日本人に浸透していないこともありますが、このように痛快にレクリエーションをするのは、これからの新しい形だと思います。任意で合宿を開くことは、米国で広まっています。そこで交流をし、楽しむ。最高ですよ。
冬のスキーだけでなく、夏は、水上スキー、カヌー、キャンプ、ハンドサイクルと活動領域も広い。彼らの運営は、主に寄付金からなっている非営利団体(NPO)です。 豪快な人 参加者で、クライムシーン(犯罪現場)という、あだ名の人がいた。私と部屋が一緒だった。クライムシーンは、とても酒が好きだった。初日はジャグジーで、ぐてんぐてんに酔っ払い。2日目はスポーツバーで酔っ払い、裸でベッドに寝ていた。そして3日目も、なかなか帰ってこなかった。 私は寝ていた。夜中12時ごろ、話し声がした。ようやく帰ってきたかと、寝ぼけながら思った。夜中の2時。おしっこがしたくなって起きた。でも、隣のベッドに、クライムシーンはいない。おかしいな。確かに帰ってきたはずなのに。。。 記憶間違いかな? よいしょ。体を起こして、寝ながらしたおしっこの容器をトイレに捨てにいこうとした。すると、やっぱりクライムシーンはいるではないか。ベッドへの移動に失敗して、こけて、そのまま床で寝ていた。 風邪を引いたらいけないので、布団だけかけてあげました。そして記念写真。最終日の午前は、彼は寝坊。スキー場には正午にきました。それまでに、私は昨晩の出来事をデジカメの写真を見せて、みんなに説明。大爆笑でした。ちなみに、彼は、水上スキーが得意で、上の左の写真がそうです。豪快な人もいるもんです。本当に。
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