カーニバルへの道(2)
2003/2 - 2003/3
突然のキャンセル / パナマ
1つ目のキャンセル コパ航空は信頼があまりできないとのイメージがあったので、米国ロスアンゼルスを出発するとき、カウンターで残りの飛行機の予約再確認をしていた。 余裕かまして、パナマシティからベネズエラのカラカス行きの飛行機に乗りに行こうと思ったら、カウンターの姉ちゃんは、なんと搭乗できないと言う。事情があるみたいだが、英語が通じないので、別室のオフィスに連れていかれる。しかし、オフィスの職員は電話応対に忙しく、私を全く相手にしてくれない。どうなってるんだ! なんとか強引に詰めより、事情を説明してもらうと、私の飛行機は欠航になったとのこと。3日前に予約再確認して、切符も発行されているのに、非常に問題である。早朝の便で、ベネズエラに着いたら、そのままギアナ高地に飛んで観光しようと思ってたけど、夕方のカラカス便は飛んでいるので、それに乗り換えろと言われるが、おいらの時間を返して欲しい。 一日2便あるから良かったものの、コパ航空を選択した理由のひとつは、カラカス着が昼だから。米国からのフライトは通常、深夜の到着が多く、そうなると次の行動が取れないので困る。空港からダウンタウンは遠いし、そのままギアナ高地に行きたいので、また空港に戻らなければならない。乗り換えのためだけにタクシー代を払うのはもったいない。とにかく夜到着は余計なお金がかかる。 さて、夕方の便まで7時間半。どうやって過ごすのか? ダウンタウンまで戻るのは、それだけで往復のバス代、タクシー代が発生する。私は主張した。 あなた方のミスだ。夕方の便まで休憩する部屋を用意して欲しい。 VIPやビジネスクラスの休憩室で横になって時間を潰すのが作戦だったが、私のスペイン語は、「部屋を用意しろ」というのが「ホテルの部屋を用意しろ」だったみたい。よって、空港近くのリゾートホテル、その送迎、昼食、そしてベネズエラへの3分間電話通話をゲット! カラカス空港に迎えにきてくれるベネズエラ人に到着便の変更を伝えないといけないからね。トラブルの対応は、我ながら旅行経験がモノを言う。えっへん。
ホテルは、豪華だった。部屋も広くて、快適で、プールで泳いで、テレビ見て、昼寝して、さらにはオフィスのインターネットをちょこっと使わせてもらって、快適に過ごせた。
ホテルの昼食も、これまた豪華だった。ビュッフェであるが、お腹いっぱい食べさせてもらった。コーヒーも無料でサービスしてもらった。至れり尽くせり。体を十分に休息して、夕方に、ベネズエラの首都カラカスへ旅立った。 2つ目のキャンセル カラカスでは、ペルーに住む友人マサトが、そのベネズエラ人の友達ペドロと待っててくれた。マサトは、私が予定していた時間にペルーからカラカスに到着していた。彼らは7時間半も、空港近くの海岸沿いの町で時間を潰しててくれ、22時到着の私を待っててくれた。 ダウンタウンで軽くビールを飲んだ後、そのまま彼の家で、夜中インターネットでギアナ高地行きのツアーを探すが、値段は安くない。翌朝、飛行場に行って、ギアナ高地近くの町への航空券を買って、飛ぶことにした。 空港には、旅行代理店がやっぱり入ってた。ベネズエラ人のペドロに交渉を頼んで、ギアナ高地へのツアーを探す。パナマからの飛行機が欠航のせいで一日を無駄にしているので、1泊2日ツアーしか選択肢はない。 陸の孤島 ギアナ高地 カナイマ ツアー料金は、2泊3日 オールインクルーシブ(全て込み)で、398ドル、300ドル、180ドルの、3種類。 陸の孤島、秘境なので、とっても高いです。シウダッド・ボリバルからカナイマへのセスナ航空券は別料金。往復100ドル。 私は1泊2日希望。エンジェルフォール遊覧希望(どうせ船や、徒歩でジャングル走行できないので)、ハンモックでなくて車イスでも泊まれる宿泊施設を条件に、230ドルで交渉が成立した。398ドルの1泊2日バージョンである。相手の言い値だが、納得の値段なので、二つ返事でOKといった。ギアナ高地は高いのは有名。1泊230ドルはダントツ過去最高の宿泊価格。2倍以上の記録更新! また、カラカスからシウダッド・ボリバルへの飛行機も手配しないといけない。観光のハイシーズンだと、カラカスからカナイマまで直通便が飛んだりするのだが、今はない。プエルト・オルダスという町に飛んで、そこからタクシーでシウダッド・ボリバルへ自費で行けとのこと。100キロの道程だけど、タクシー代は15ルで行けるからと助言。カラカスからプエルトオルダスへは、片道82ドル。往復で2万円だ。時間がないとはいえ豪華旅行。 トントン拍子で、ギアナ高地ツアーをカラカス空港で手配し、そのまま飛行機に乗って、降りて、聞いていた値段で強引交渉したタクシーに乗り、ギアナ高地への玄関シウダッド・ボリバルへ到着。世界第5位の産油国だけあって、まっすぐに伸びた高速道路が素晴らしい。 シウダッド・ボリバルで宿泊するホテルもツアー会社に宿泊料金で良いところを紹介してもらった。スロープがあって車イスでも利用しやすく、空港の目の前、最高のホテルだった。ここで1泊して、翌朝8時30分に、いよいよ秘境へと出発である。 思ったより早く、シウダッド・ボリバルに着いた。午後ゆっくりと、ダウンタウンを観光することにした。
コロニアル調のなんともいえない色彩感覚の教会。南米にきたという雰囲気。たまーに、このようないい建物があります。
ぶーら、ぶーら、なーんもすることなく適当に散歩。買い食いして、ベンチに座って、自転車に乗ったチューペット売りから喉を潤し、心地よい時間。
さて、町には、長い長い自動車の列ができていた。プエルト・オルダスの空港近くでも、長い長い列ができていた。なんでか? 列の先頭は、ガソリンスタンド。 ガソリンを入れるために、何時間も待つ。ひどいときは半日も待つ。ガソリン1リットル10円もしない産油国なのになぜか?
ベネズエラはこのとき政情不安だった。経済がマヒしていた。共産党上がりの大統領が何も変えれず、権力を集中するようになって、独裁者になっていた。それに反発した経済界(石油会社やマスコミなど全部)が、再選挙を要求。ついには、ストライキをして、石油の供給をストップ、制限したのであった。学校も閉鎖されたりした。 それでも国民は文句を言わない。みんなが反大統領派に支持した。ガソリンを入手するのに何時間も並び、仕事がストップし給料はなくなったりしているのに。同時期にイラク情勢が緊迫しているのに、ベネズエラでは全く興味をもってなかった。自分達の国が滅びるのではないかという建国以来、初めての危機であったのだから。 ・・・・・ 翌朝。空港に向かった。セクシーな黒色ミニのワンピースを着た姉ちゃんモライマが、ツアーの担当者。予約券を彼女に見せると、そのまま奥に引っ込んだ。そして携帯電話でしきりに何かを確認していた。 待合室で、ずーと待っていた。しばらくして、セクシー姉ちゃんモライマが戻ってきた。「飛行機はガソリンがないから、キャンセルになった」と、私のせいではないわよと淡々と伝えられた。パナマに続いて、2つ目のキャンセルである。 旅行代理店のせいでないという。ガソリンがないから飛べないとのこと。うーんひどい。カラカス空港の旅行代理店と電話で話す。手配してくれた男前ジョニーの声は誠実だった。申し訳ない。ガソリンがない事情だから勘弁してくれ。今日のホテル、食事代、は後で支払う。 プエルトオルダスからカラカスへの航空券も、飛行場で言えば交換してくれるから問題ないとのこと。うーん信用していいのだろうか? 不安である。 でもギアナ高地にいかなければ。そして明日、飛んでくれなきゃ、今回の目的、トリニダードのカーニバルに参加できないじゃないか。 暇な一日になってしまった。だらだらと過ごすしかない。翌朝は無事、出発することができた。セクシー姉ちゃんモライマはよかったねと少しだjけ笑顔。そして、ギアナ高地を楽しく観光し、カラカスへも一日遅れで問題なく帰れた。 空港では、旅行代理店のジョニーが待っていた。ホテルと食事の領収書を出すと支払ってくれた。本当に支払ってくれるかわからなかったので豪遊しなかったのは、私はまだ小心者。 トラブルはあったけど彼らのせいではない。独裁大統領が悪いのだ。 こんなときに来るなんてというなかれ、トリニダードのカーニバルにいくため仕方ないのだ。航空券を手配したあとに、ベネズエラの政情が一気に悪化しただけなのだ。あきらめるわけいかない。 |