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新たなる挑戦(2)

2001/11

カレンの家に泊めてもらう / イギリス


スコットランドの大自然

カレンの家には、2泊しかしない。到着が夜で、出発は早朝だから実質1日しか時間がなかった。さらには、訪れたのは平日だったので、カレンは仕事に行っている。ところが、カレンが気を利かせてくれたのだろうか、婚約者のセレシュが遊びにきていた。セレシュはロンドンで働いているが、休暇で1週間ほどアバディーンにいるとのこと。結婚後は、ロンドンでの仕事を辞めて、こちらに住むことになっている。

午前中は、カレンのハンドサイクル(手こぎ自転車)を借りて、サイクリングすることにした。セレシュは、家でコンピューターに向かって仕事をしていた。つまり、乗りたければ、一人で行ってこい! ということ。前の晩に、家の周りの地図とサイクリングコース、そして携帯電話を持たされた。

一度も乗ったことがない、運転の仕方もよくわからないハンドサイクルで、雨が降る寒い冬のスコットランドの田舎道を一人で走るというわけだ。厳しいのは当たり前。したければ自分でなんとかしろ。やってやろうじゃないか。心配だけど。

カレンは、私より身長が185cmと、私より15cm高いので、ハンドサイクルのサイズが大きかった。

 ・ 足が少し届かないので、お尻を前にして腰掛けるので不安定。
 ・ ペダルの位置が高く、こぐのに大きな力が必要になり、ペダルが重たい。 

でも、そんなこといってられない。乗るだけである。想像以上に重たいペダルを回し、セレシュに別れを告げて、道に出た。

なかなかうまくこげないが、少しずつ慣れてきたので、段を替えてスピードを上げる。7段×3=21段変速であったが、手でチェーンをいじくる部分もあるので、7段しか使わなかった。 

目指すは、古いお城だ。坂道を登っていく。

脳みそに酸素が足りなくなりながらも、眠っていた根性を呼び覚ます。何度も休憩しながら、腕が悲鳴をあげながらも、なんとかたどり着きました。やったー!

車椅子マラソンは地面を見てこぐが、ハンドサイクルは顔を上げれるから爽快だと、カレンは語る。上り坂は普通に車イスをこぐより重たく地獄だが、下り坂はスピードが出て本当に気持ちいい。

でも、スコットランドの冬は、いつも雨。ハンドサイクルに泥よけがついていなかったので、スピードが出ると、泥がもろに顔にかかる。泥だらけになりながらこぎました。

約20kmのコースを、3時間かけて完走。
 
腕がパンパンになるし、坂は地獄だし、高校時代のラグビー部の夏合宿を思い出しました。Tシャツは汗でビショビショ。喉は渇くし、お腹も減る。苦しかったです。ハンドサイクルは想像以上にキツイものだった。 こぎまくるカレンは凄いね。

この後の3日間ずっと、腕が筋肉痛で、まともに車イスがこげなくなり大変でした。


プール

サイクリングの後、家でセレシュと昼食をとり、午後はバスでアバディーン市内に向かった。車窓からは、映画に出てくるような綺麗な庭がある家々が並んでいた。丁寧に刈られた木々。色んな花々。まるでショールームみたいである。英国の豊かさを痛感した。

サイクリングで腕がパンパンなので、あまり車イスがこげなかったので、ショッピングセンターを中心に、さらっとだけ街を観光し、英国名物のフィッシュ&チップスを食べた。そして、夕方に、仕事帰りのカレンが街の中心部で私を拾ってくれた。

夜は、プールでカヤックをやっているから行こうとなった。カレンの婚約者セレシュは、カヤックの名手である。コーチングの資格も持っているらしい。私は、メキシコのカンクンというリゾート地で、一度だけやったことがある。カレンは、ケガする前からもやっていたのだろうが、これまた名手で、一般のレースに弟参加したり海や川で縦横無尽にこぐそうだ。スコットランドには美しい島や川がたくさんある。

プールは地域のスポーツセンターの中にあった。芝のサッカー場、ラグビー場、バスケットコート、体操場なども併設されていた。小さな街なのに、こんなスポーツ施設があるなんて豊かである。地域の生活に根ざしていた。この夜は、毎週のカヤッククラブの練習日。たくさんの人が練習したり遊んでいた。

プールでカヤックに少しのり、少し泳いだ後、パブに行った。カヤックに参加していた人達が、たくさん来て、話に花を咲かせる。どこの世界でも、スポーツの後の一杯は良いもんだ。ここでコミュニケーションが生まれる。私みたいに、たまたま参加した者や、新参者なども自由に楽しめる温かいカヤッククラブだった。

これが、英国のパブなんだと感慨にふけりながら、夜が更けていった。


カレンの家

カレンの家の冷蔵庫が、冷蔵スペースより冷凍スペースの方が大きいのに驚いた。日本では、冷凍スペースが大きくても、せいぜい3分の1ぐらいだろう。生鮮野菜と飲料、乳製品以外は、冷凍スペースにストックされていた。パンや炭水化物もである。田舎だから、そうそう買物にはいけないのもあるのかな。私も冷凍スペースの大きな冷蔵庫が欲しい。日本でも売ってくれないかな。

カレンと婚約者のセレシュは、とても仲良し。ラブラブでした。 お幸せに!

実は、英国では、カレンは本を出していないので、苦笑しているのです。ハンドサイクルで日本縦断をするときに、コーディネーターの人がカレンの物語を本にしたのです。とはいえ、カレンは英国でも有名で、テレビのCMに出たりしたとのこと。そのCMの撮影のときに、婚約者のセレシュと知り合ったそうな。お幸せに。   


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